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10万pv突破しました!!!【每日更新】史上最強の幽霊剣士  作者: Doctor Crocodile


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第53話 05 白の中の一滴の赤


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シャーの戦いはようやく幕を下ろした。肩で息をしながら腕を軽く振り、疾風のような身影となって、フィードと村長のいる方角へと駆け出した。吹雪は唸るように吹き荒れ、雪片が空中で渦を巻く。その猛吹雪は、まるで重く垂れ込める幕のように戦場を覆い隠し、視界を曇らせていた。


エレメントは眉をひそめ、周囲を鋭く見渡す。しかし、視線の先にあるのは白い混沌のみ。敵の所在を掴むことすらままならなかった。


「くそっ、この忌々しい吹雪、まだ収まらないのか……!」歯を食いしばり、低く呟くと、彼は掌を振るった。すると五つの属性の魔力が彼の手のひらに集まり、きらめく光球となって顕現した。


光球は瞬時にして無数の小さな魔弾に分裂し、彼の背後から矢のように飛び出して、前方に向かって四方八方へと放たれた。


「これで位置が割り出せるはず……」エレメントは心の中で計算を巡らせる。


魔弾たちは風雪を切り裂きながら、尾を引く光を残して空を駆けた。だが、それらが目標に届く前に——村長はわずかな空気の乱れを敏感に察知した。


彼が腕を一振りすると、氷のように鋭い冷風が龍の咆哮の如く戦場を薙ぎ払い、飛翔していた魔弾は一瞬にして凍てつき、ガラスのような音を立てながら雪上へと落ちていった。


「本当に厄介な氷魔法だ……いっそ俺が……」エレメントの瞳が細まり、ひとつの策が脳裏をかすめたが、すぐに自ら打ち消す。「ダメだ、それを使えば隊長にすぐ居場所を察知される。」


その刹那——吹雪の帳を裂くように、一つの影が疾駆する。それはシャーが変身した外爪兎だった。しなやかで強靭な後ろ足はまるでバネのように跳ね上がり、鋭い爪には冷たい光が宿っていた。


音もなく背後に迫ると、爪がエレメントの背中を掠め、次の瞬間には目の前に躍り出て、大腿部へと鋭く突き立てた。


エレメントが反撃の体勢を取る前に、シャーは身軽に跳躍し、反撃の炎を避けて空中で両手を振るい、彼の胸元に十字の軌跡を刻みつけた。それはまるで、次なる攻撃のための印を刻むかのようだった。


しかし、エレメントはそれらの傷を一顧だにせず、冷笑を浮かべた。彼の身体を覆う防御魔法には、それらの一撃すら届いていない。「ただの注意を逸らすための戯れだろう」と、彼は冷静に分析し、再び警戒の目を巡らせた。


だが次の瞬間——彼の表情が一変する。両手から伝わる鋭い冷たさに、エレメントは思わず視線を落とす。


手のひら、手首、そして前腕までもが、いつの間にか氷の結晶に覆われていた。大腿や胸元も同様。すべては先ほど夏に攻撃された箇所——。


「まさか……!」エレメントの瞳孔が見開かれる。脳裏に走る一つの確信——村長が、微細すぎて感知不能な氷の粒子を夏の爪に付着させ、それが命中するたびに、静かに彼の身体へと浸透していたのだ!


そして、その瞬間——背後から迫る、圧倒的な殺気。


振り向く間もなく、彼は本能的に胸元を庇った。


「超震動ッ!!」

フィードの怒声が雷鳴の如く轟く。その拳が空間すら震わせる衝撃を纏い、エレメントの凍った両腕へと叩き込まれた。


刹那——氷は破裂するように砕け散り、エレメントの身体は後方へと吹き飛び、足元がもつれる。右腕からは鮮血が噴き出し、白銀の雪の上に、紅い梅のように咲き広がった。



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