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第8話04異世界での出会い

罠と強盗、そして運命の再会


「ああ、大叔は道を知らなかったようだな。」


ニックスは軽くため息をつき、肩をすくめながら来た道を引き返そうとした。しかし、何かが引っかかる。まるで最初から自分をここに誘導するかのような違和感が、胸の奥でざわめいていた。


——と、その時だった。


ザッ……ザッ……


背後の路地から、不穏な足音が響いた。


ニックスが振り返ると、二人の男が闇からゆっくりと姿を現す。


彼らは薄汚れた革のジャケットを身にまとい、腰にはナイフをぶら下げていた。その目には、獲物を狙うハイエナのような光が宿っている。


「今の世の中、本当に騙されやすい奴が多いよな。」


ニヤリと笑いながら、一人の男が口を開いた。


「まったくだ。あの大叔の詐欺の腕前は大したもんだよ。毎回こうして、何も知らねぇカモを誘い込んでくれるんだからな。」


二人はあからさまに楽しげに語りながら、ジリジリとニックスに歩み寄る。


「……なるほどな。」


ニックスは呆れたように首を振り、軽く肩を回した。


「面倒だな。時間がないから、さっさと片付けるか。」


静かに、だが確実に、戦いの準備を整える。


戦闘の開始


「おい、坊主。」


男の一人が汚い笑みを浮かべながら、手のナイフを弄んだ。


「今すぐ持ってる金を全部出せば、痛い目を見なくて済むぜ?」


「それじゃあ、こっちからも一言。」


ニックスはゆっくりと腰の剣を抜き、銀色の刃が月光を受けて鈍く輝く。


「今逃げれば、病院送りにならずに済むぞ。」


その冷静な言葉に、一瞬だけ男たちは驚いたように目を丸くした。しかし、すぐに嘲笑へと変わる。


「ハッ、生意気なガキが!」


怒声とともに、二人の強盗が一斉に襲いかかってきた。


「だから、面倒なんだよ。」


ニックスは小さくため息をつき、鋭い視線で敵の動きを見極める。


「大人しく経験値の袋になっていればいいものを……。」


一瞬で決まる戦い


男の一人がナイフを振り上げ、勢いよく突き出した。


「円舞曲!」


ニックスは軽やかに一歩踏み込み、流れるような動きで敵の懐へと入り込む。


瞬間、閃光のごとき斬撃が走った。


「ぐ……あ……!」


強盗の一人は呻き声を上げ、そのまま地面に崩れ落ちる。


しかし、もう一人の強盗は素早かった。ニックスの動きを見て、即座に加速し、鋭い突きを繰り出してきた。


「無駄だ。」


ニックスの瞳が鋭く光る。


「燕返し!」


剣が弧を描き、流れるような二連の斬撃が繰り出される。


「がっ……!」


二人目の強盗もまた、一撃の下に膝をついた。


戦闘が終わるまで、ほんの数秒の出来事だった。


運命の再会


「ふう……。」


ニックスは軽く息を整えながら、倒れた二人を見下ろす。


「幸い、手加減して倒したから、死なずには済んだようだな。」


そう呟きつつ、剣を納める。


その時——


「お前、ここで何をしているんだ?」


突如として背後から声が響いた。


ニックスは驚き、その声の主を見る。


そこに立っていたのは——見覚えのある顔。


長く旅を共にし、無数の戦いをくぐり抜けた人物。


「……フィード?」


ニックスの瞳が大きく見開かれる。


「ニックス?」


フィードもまた、驚きに目を丸くしていた。


二人の視線が交錯し、言葉を失う。


沈黙の中、ニックスの胸の奥に様々な感情が渦巻いた。


まさか、ここで再会することになるとは——。



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