第51話 11 朝の光が照らす誓い
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翌朝の早朝、二人は静かに目を覚ました。起き上がって顔を合わせた瞬間、慌てて視線を逸らす。
(くそっ、昨日あんなカッコつけたセリフ言っちゃったよ……今思い返すと恥ずかしすぎる。何て声をかければいいんだよ……。落ち着け、深呼吸だ、落ち着け……)
ホウペイは心の中で自分を必死に励ましていた。
一方、夢子も胸を押さえながら思っていた。
(昨日、あの人の前で泣いちゃった……。しかもあんな恥ずかしいこといっぱい聞いちゃって……。うう、思い出すだけで顔が熱い……落ち着け、深呼吸……)
そのとき、二人の声がぴったりと重なった。
「えっと……朝ごはん、食べた?」
その言葉に、お互い思わず吹き出して笑った。
「もう、ほんとに……あんたバカなの? 私が食べてないのに、あんたが食べてるわけないじゃん」
夢子が呆れたように言うと、ホウペイも笑って返す。
「いや、それ俺のセリフなんだけど!? 朝ごはん作るの、俺の担当だっただろ! まあ、でもさ……なんか、今なら自然に話せる気がする。昨日の約束、俺は絶対に忘れないよ」
夢子は頬を赤らめながらうつむく。
「……知ってるよ、バカ」
「さて、今日は何が食べたい? 生クリームのケーキ? それともチョコレートケーキ? ……って、どうしたの、ボーッとして?」
ホウペイが不思議そうに聞く。
夢子の表情が一瞬にして引き締まった。
「……おかしい、強い魔力を感じる。数は……三十人から四十人規模、しかもみんな魔獣級クラスの力を持ってる」
その言葉に、ホウペイも冷や汗を垂らす。
「そんな……俺たちの居場所がバレた!? まさか……!」
彼は慌てて、かつて二人の侵入者を閉じ込めていた牢屋へと駆け込む。
「お前たち……何をした!? まさか、外部と連絡を取ってたのか……!」
「その通りだよ」
囚人の一人が、勝ち誇ったように笑った。
「お前が協力してくれないなら……あの魔女みたいに一緒に捕まってもらうしかない。どうせ逃げられっこないさ。もう周りは完全に包囲されてるんだよ」
怒りに震えるホウペイは、拳を握りしめて二人を一撃で気絶させた。
「……くそっ、完全に読み違えた……。どうする……」
夢子も焦りを隠せない。
「たとえこの幻影の森が多少なりとも足止めになるとしても、時間の問題よ……ホウペイ、私たちどうすれば……!」
ホウペイは眉をひそめ、しばらく考えた後、意を決したように夢子の手を握る。
「……お願いがある。信じてくれ、夢子。君はここで待っていて。絶対に動かないでくれ。俺の魔力感知はあまり役に立たないけど……武器さえ見つかれば、必ず君を助け出す。だから、信じて……」
夢子はそっと微笑んだ。その笑顔にはどこか懐かしさと、深い信頼が宿っていた。
「……もう、バカね。私は、ずっとずっと前から、あなたを信じてるわ。ここで待ってる。絶対に、帰ってきてね」
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