第8話03デッドエンド?
湖都クルンダル——美しき大都市
ニックスは地面に手をつきながらゆっくりと立ち上がり、軽く服についた埃を払った。そして、改めて目の前の光景に目を見張る。
クルンダル——その街並みは、これまで訪れたどの村とも違っていた。石畳の道は広く整えられ、カラフルな屋根を持つ商店が所狭しと並んでいる。窓には色とりどりの旗や飾りが揺れ、楽しげな雰囲気を醸し出していた。
商店の看板には「道具屋」「武具店」「魔法書専門店」といった文字が並び、さらに、少し離れたところには子供たちが楽しそうに駆け回る「玩具店」や、香ばしいパンの匂いが漂う「カフェ」もあった。
さらに目を引いたのは、圧倒的な存在感を放ついくつもの巨大な建物。それらの看板には「旅館」と書かれており、まるで宮殿のような豪華な造りだった。旅人や商人たちが頻繁に出入りし、活気に満ちている。
そして、街の中央——そこには広大な湖が、まるで宝石のように煌めいていた。湖面は透き通り、太陽の光を反射して無数の光の粒が踊る。白鳥や小さなボートがゆったりと漂い、湖のほとりでは花々が咲き誇り、風に揺れている。
「……本当に素晴らしい街だな。」
ニックスは目を細めながら、しみじみと感嘆の声を漏らした。
冒険者ギルドを探して
「さて、まずは冒険者ギルドを探そう。」
ニックスは気を引き締め、周囲を見回しながら歩き始めた。しかし、この街はあまりにも広大だった。どこを見ても似たような建物が立ち並び、迷路のように入り組んでいる。
大通りを進みながら、次々と視界に入る店や人々の活気に圧倒されつつも、目当てのギルドが見当たらない。
「うーん……なかなか見つからないな。」
仕方なく、誰かに道を尋ねることにした。
謎の大叔登場
その時、ふと視界の隅に、一人の大叔がゆっくりとこちらへ近づいてくるのが見えた。
彼は白髪交じりの髭を蓄え、落ち着いた雰囲気を持つ人物だった。着ているのはくたびれた旅人風のローブで、杖を片手に持っている。まるで長年旅を続けてきた賢者のような風貌だ。
「少年、何をしているんだい?」
大叔の穏やかな声が、喧騒の中でもはっきりと聞こえた。
「冒険者ギルドを探しているんです。」
ニックスはすぐに答えた。
すると、大叔は優しく頷きながら、どこか意味ありげな笑みを浮かべた。
「ほう、冒険者ギルドか。それなら助けてあげよう。彼らのギルドはこの街のかなり奥にある。今の道をまっすぐ進んで、三番目の交差点で左へ曲がるんだ。大きな建物だから、すぐに見つかるだろう。」
「ありがとうございます!」
ニックスは礼を言い、指示された通りの道を進み始めた。
奇妙な行き止まり
言われた通り、大通りをまっすぐ進む。クルンダルの活気あふれる光景を楽しみながら歩くこと数分。やがて三番目の交差点に到着し、左へと曲がった。
しかし——
「……おかしいな?」
ニックスは目の前の光景に戸惑い、足を止めた。
そこには道などなかった。
あるのはただ、高くそびえる石壁。道は完全に塞がれ、どこにもギルドの建物らしきものは見当たらない。
「……ここ、行き止まりじゃないか?」
ニックスは困惑しながら、再び地図を思い浮かべた。しかし、確かに大叔が言った通りに進んできたはず。




