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第8話02奇妙なテレポート方法

旅立ちの瞬間——不思議な力に導かれて


「これで、一瞬でクルンダルに到達できるよ。」


リードが手渡した伝送符をじっと見つめながら、ニックスは改めてその不思議な力に驚かされていた。小さな紙切れのように見えるが、これが時空を超える力を持つというのか?


その様子を見ていた夢子が、興味津々に顔を覗かせた。


「他に何か不思議なものはあるの?」


「この世界にはまだまだ未知の力が溢れているよ。ゆっくり探しながら、自分の目で確かめるといい。」


リードは穏やかな微笑みを浮かべながら答えた。


ニックスはその言葉を噛みしめつつ、深く息を吸い込んだ。そして、真剣な眼差しで皆を見回すと、丁寧に一礼した。


「分かった。それじゃあ、出発するよ。長い間、本当にお世話になりました。将来、必ずお礼をしに戻ります。」


ニックスの真摯な言葉に、夢子は小さく笑って首を振った。


「そんなに重く考えないで。私たちはただ、君の旅を応援してるだけだよ。」


「そうそう。それに、君もこの村を助けてくれたんだから、貸し借りなしだ。」


リードも優しく肩を叩く。


「さあ、早く行ってきなさい。」


村の仲間たちの温かい激励に、ニックスは力強く頷いた。


「じゃあ、行ってきます!」


そう言って、彼は決意を胸に伝送符を握りしめた——


——しかし、数秒が経っても彼はその場に立ち尽くしたままだった。


「……どうしてまだ出発しないの?」


夢子が不思議そうに首をかしげる。


「……あ、そういえばどうやって使うのか聞くの忘れてた!」


「ああ、そうだったね。」リードは笑いながら説明を加えた。「伝送符に魔力を注げばいいんだよ。目的地のマークはクルンダルになってるから、あとは魔力を込めるだけで発動するはずさ。」


「なるほど、分かった!」


ニックスは再び伝送符を見つめ、静かに目を閉じる。そして、手のひらからじわりと魔力を流し込んだ——


すると、伝送符が淡い金色の光を帯び始めた。最初はかすかだった輝きが、次第に増していき、やがて眩しいほどの閃光となる。そして、まるで生き物のようにニックスを包み込むと、次の瞬間、彼の体は光の渦に吸い込まれた!


——目眩く光の中を駆け抜け、彼の意識は一瞬にして飛ばされた。


クルンダルの街頭——不器用な降臨


突然、クルンダルの賑やかな街並みに、どこからともなく一人の青年が転がり出てきた。


「うわぁぁぁっ!?……どてっ!!」


彼は見事に地面へとダイブし、派手に転がる。そのまま石畳に膝をぶつけ、勢い余って頭まで強打した。


「いててて……! なんだこのとんでもない移動方法は……?まるで異次元に飲み込まれたみたいだったぞ……!」


額をさすりながら、ニックスは痛みに顔をしかめる。


周囲の通行人が驚いたようにこちらを見ているが、クルンダルの住人たちはすぐに「ああ、また誰かが伝送で落ちてきたのか」と納得した表情を浮かべ、再び日常へと戻っていった。


「……とにかく、無事に着いたみたいだな。」


ニックスは深く息を吐きながら、ようやく自分の新たな旅の始まりを実感したのだった。



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