第50話 11 取引
しばらくして、メイコは手を拭きながら、草薬や薬材を取り出した。
「今日は、あんたに薬の調合を手伝ってもらうわ。心配いらない、経験なんて必要ないから。私が言う通りに材料を入れていくだけでいい。」
「……ちょっと待って。それならなんで僕にやらせるの? 自分でできるでしょ?」
ホウ・ペイは眉をひそめた。
メイコは一瞬だけ目をそらし、やや苦しそうに言葉を繋いだ。
「うーん……実はね、その調合作業、ちょっとだけ……ほんの少しだけ、リスクがあるの。」
「リスク?」ホウ・ペイは目を見開いた。
「まぁ……時々ね、うっかりすると、爆発することがあるの。確率はものすご~く低いけど。ほとんど起こらないし、気にするほどでも……ないかも?」
「嫌だ!!」ホウ・ペイは三歩ほど後退し、即座に拒否した。「そんなの聞いて誰がやるかよ! 煙まみれでボロボロになりたくないし!」
「ふーん……じゃあ、私がこんなに美しくて、純粋で、健気な少女が一人で爆発に巻き込まれてもいいって言うの?」
「その手には乗らない!」彼はすかさず叫んだ。「君は、どう見ても腹黒で計算高い“老魔女”だろっ!」
「ろ、老魔女ぉ!? 誰が老魔女ですってぇ!!?」
怒りで髪が逆立ちそうになったメイコは、ホウ・ペイの襟元をつかんで、ブンブン揺さぶった。
かくして――
一通りの罵り合いと交渉と、半ば脅迫めいた押しつけがましい交渉の末、ふたりはどうにか力を合わせて薬を完成させた。
途中、爆発寸前まで煙が立ちこめ、材料が宙を舞った場面もあったが、最終的に仕上がったのは、澄んだ色合いとほんのり漂う香りをまとった一瓶の薬。
それはまるで、騒がしくも温かいふたりの共同作業の“証”のように、静かにそこに立っていた。
もちろん、以下是这段内容的日文翻译:
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幸いなことに、今回は爆発は一切起こらなかった。
薬草のかすかな香りと、まだ消えきらない煙の余韻が洞窟内に漂い、揺らめく焚き火の橙色の光が、岩壁に斑に踊る影を落としていた。それはまるで、ふたりの小さな“勝利”を静かに祝福しているかのようだった。
ホウ・ペイは大きく息を吐き、額の汗をぬぐいながら、ほっとしたように苦笑する。
「ふぅ……助かった。マジで爆発しなくてよかった……」
「うん、それじゃあ次もお願いね。」
背後から聞こえた夢子の声は、いつも通り淡々としていたが、どこかほんの少しだけトーンが低く、真剣さが滲んでいた。
ホウ・ペイは振り返り、見慣れたその冷たい美貌にため息をつきながら言った。
「わかってるよ……また取引の用事でしょ?」
夢子は無言で小さくうなずくだけだった。
「はいはい……で、その場所はどこだ」




