第49話 06 思いがけない黄金の雨
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未来への旅路はまだまだ長い。しかし、チャーリーは目の前の妖精のような少女を見つめながら微笑み、こう言った。
「でもさ、ニックスと一緒に歩いていれば、きっとこの子の未来は眩しいくらいに輝くと思うんだ。だって、ニックスも同じように輝いているんだからさ。」
「それにしても、ニックス、お前ほんとに強くなったなあ。さっき話してくれた戦闘の話、まるで英雄譚の一幕を聞いてるみたいだったぞ。」
チャーリーは感心したように唸りながら、尊敬のまなざしを向ける。
その言葉を聞いたニックスは、思わず口元をほころばせ、恥ずかしそうに笑った。
「えへへ……そんなに大げさな話じゃないよ〜」
嬉しさを隠せず、まるで褒められた子狐のように、尻尾が見えそうなほどはしゃいだ笑顔を見せる。
「この調子じゃ、あいつ空まで飛んでっちまいそうだな……」とフィードが苦笑いしながら言う。
エリーサとシャーも、それぞれ左右からこくんと頷きながら、柔らかな笑みを浮かべた。
「ほんとほんと〜!」
「ところでさ、あの戦いのあとで、お前ら補償とかちゃんと受け取ったか?」リードがふと眉をひそめて尋ねた。
「補償?!」四人が同時に驚きの声を上げる。
「えっ、まさか何ももらってないとか!?特に今回はお前ら、あれだけの活躍だったんだから、何かしら報酬があって当然だろ?まあ、最近王都の件で混乱してるのも分かるけど……上層部もいろいろと対応に追われてるだろうし、表彰の時間もなかったのかもな。とはいえ、冒険者ギルドに確認だけはしておいた方がいい。」
リードの真剣な勧めを受けて、一行は冒険者ギルドの受付へと足を運んだ。
「まさか……こんな大金になるとは……。四人合わせた合計報酬額は――なんと、驚愕の100万ゴールドです。」
(※現実世界で約2億円相当)
その瞬間、ギルドの空気が凍りつき、全員がまるで時間が止まったかのように固まった。
「……な、なんだって?!」まるで時限爆弾が弾けたかのように、驚きの声がホール中に響き渡る。
「800万ゴールド?!ウソでしょ!?」ニックスは目を見開き、完全に固まった。
「そ、それって多すぎない!?」
最初に正気を取り戻したニックスは、目を輝かせながら叫んだ。
「ってことはさ、俺たち今、完全にお金持ちってことだよね!?」
「一生、食べ物には困らないな。」とフィードが笑って続けた。「この金があれば、世界中の美味しいもの、全部食べ尽くしてやる!」
エリーサの瞳もすでにキラキラと輝き、まるで星屑のようだった。「最高〜!これでサンディと一緒に、たっくさん買い物できる!最近ずっと気になってた服があるの、絶対買う!」
シャーは少しだけ思案顔をしながら、顎に指をあてて呟いた。
「うーん、私はまだ何が欲しいかちゃんと決まってないけど……でも、確かに私たち、一瞬で本物のお金持ちになっちゃったんだね。」
朝日が差し込むように、あたたかな光が彼らの姿を照らし出していた。それはまるで、長い旅の先でやっと手にした微笑みを包み込むような、やさしい祝福のようだった。
そして、彼らの物語は――新たなページを、今まさにめくろうとしていた。
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