表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10万pv突破しました!!!【每日更新】史上最強の幽霊剣士  作者: Doctor Crocodile


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

786/1127

第48話 18 「大丈夫、僕はここにいるよ」




---


「もう、そんな危ないことは二度としないでよ……!

死んじゃうかもしれないって、わかってるの!?

今回助かったのは、本当に……ただの運が良かっただけなんだから……」


エイトの声は震えていた。かすれたその言葉のひとつひとつに、長い間抱えていた不安と恐怖が滲んでいた。


「……あなたね、何日もずっと意識が戻らなかったの。

お医者さんも……“もう目を覚まさないかもしれない”って……」


彼女は言葉を詰まらせ、そっと顔を上げた。その瞳には、今にもこぼれ落ちそうな涙の粒が浮かんでいる。


それを見たニックスは、優しく微笑みながら、静かな声で答えた。


「大丈夫だよ。僕は死んだりしない。だって……君たちが、僕を待っていてくれるから。そうだろ?」


彼はそっとエイトの目を見つめて、軽く笑った。


「心配いらないさ。もう無茶はしないよ。ほら、こうして元気に立ってるじゃないか。ね?」


彼は左手を伸ばし、棚の上からティッシュを一枚取ると、そっと彼女に差し出した。


「ねぇ、だから言ったでしょ。ちゃんと“師匠”って呼んでって。」


エイトは鼻をすするようにして、小さな声で言った。


「……し、師匠……ほんとに……こんな姿、初めて見せたじゃん……」


「うんうん、僕もびっくりだよ。師匠が泣くなんて、貴重な瞬間だなあ。」


ニックスは冗談交じりに笑う。


「……もう、全部あんたのせいよ。こんなに恥ずかしいの……」


「それは……ごめんね?」


ふたりの間に、久しぶりにあたたかな笑いが広がった。



---


翌朝になると、他の仲間たちもニクスの回復を知り、病室は一気に明るい空気に包まれた。

とくにほしは、まるで張りついたかのように一日中ニクスのそばにいて、少しでも様子がおかしくないかと気が気でなかった。


ニックスの体は、驚くほど順調に回復していった。

一週間ほどで自由に歩けるようになり、徐々に通常の生活へと戻っていく。


――ただし、一つだけ不安が残っていた。


時間の感覚が、時々おかしくなるのだ。

たとえば、午前中のはずなのに、気がつくと午後になっていたり……

まるで記憶が“抜け落ちる”瞬間があるようだった。


仲間たちもそれに気づいていた。

「最近のニクス、なんか変だよな……急に無口になったり、誰かが中に入れ替わったみたいだ」と。



---


退院を控えた最終日、主治医が分厚い診断書を手に病室を訪れた。


その顔はいつになく険しく、静かに、こう切り出した。


「……正直に言って、あなたの状態は非常に深刻でした。

ここまで回復できたのは、まさに奇跡です。

私たちにも、どうして助かったのか説明がつきません。」


彼は一度言葉を切り、書類をめくりながら続けた。


「さらに特筆すべきなのは……あなたの魔力神経です。

それが、現在“自動的に修復されている”ということ。」


「つまり、こういうことです。

あなたの魔力の中枢は甚大な損傷を受けていて……

例え回復の兆候があったとしても、少なくとも――

これから一ヶ月は、戦闘行動は一切できないでしょう。」


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ