第48話 13 帰還の極光
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「うるさいな。お前、あの創世組織の連中とつるんでるんじゃないのか?」ニックスが低く問いかけた。その声には苛立ちが滲んでいた。
「あいつらなんて、ただの幼稚な理想論者にすぎない。絶対的な力だけが、すべての者を従わせる唯一の法だ。」
「ルールがどうとか、正直どうでもいい。」ニックスが口を挟んだ。
だがその時、カスは何かに気づいたように目を細める。「おい、西の方角を見てみろ……あそこ、少し光ってないか?」
彼の視線の先には、確かにほのかに光るものがあった。「まさか……太陽の昇る方向じゃないはずだろ。」
目を凝らすカス。やがて彼は、その光の正体を捉えた。「……白い、何かがいる……いや、誰かだ!」
次の瞬間、彼は目を見開いた。「クソッ……!」
白い影が、まっすぐ都市へと突入してくる。止めようとするカスだったが、既にニクスに負わされた深い傷で、身体は動かなかった。
その頃――ドラゴンがバフィ、エリサ、シャ、そしてナイトたちに牙を向けようとした刹那。
白い人影が突如飛び出し、巨大な白の大剣でドラゴンの腹部を深々と切り裂いた。
ドラゴンが苦悶の咆哮を上げる。しかし、攻撃はそれで終わらなかった。
「極光、回流」――
白の大剣から眩いオーロラの光が迸り、剣が描く軌道はまるで極光そのもの。
一閃のもとに、ドラゴンの巨体は真っ二つに断たれた。
「皆、よくやった。本当にお疲れ様。あとは――この都市に残るすべての魔物、俺が引き受ける。」
現れた白き剣士、その名はバイスタ。
彼は静かに周囲を見回した。都市のあらゆる路地、建物、影の中に魔物の気配が溢れている。
深く息を吸い込み――次の瞬間、風を裂く音とともに、バイスタの姿は消えた。
人々には彼の動く姿など見えない。ただ、駆け抜ける音と、極光の閃きだけが街中に舞う。
彼の剣閃は都市のあちこちを駆け巡り、魔物を切り裂く閃光の雨となった。
やがて、都市の空は昼のように明るく染まり、そして――すべての魔物は、極光の残滓とともに消え去った。
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