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10万pv突破しました!!!【每日更新】史上最強の幽霊剣士  作者: Doctor Crocodile


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第47話 15 王となるための階



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巨大な竜が大きく空へ跳び上がり、その圧倒的な身体は炎と影の狭間を恐ろしい弧を描くように滑走した。まるで墜ちゆく隕石の如く、破滅の意思を帯びて都市の中心に向かって猛烈に急降下していく。その一撃に、竜の野望は一切の曇りなく――都市を地図から完全に抹消せんとする決意が滲んでいた。


しかし、その天変地異の一瞬、ナイトの剣は突如として極彩色に輝き、まるで極光のように美しく天空を割る光芒を放つ。ナイトは柄を強く握りしめ、猛スピードで接近する竜を刃にしっかりと捉え、まさに運命の一瞬を注視していた。


「喝—っ!」


竜の頭部が眼前に迫る刹那、ナイトは全身の力を剣に注ぎ、一振りの渾身の斬撃を放つ――それは彼の全力を凝縮した究極の一撃だった。


剣鋒は重く下降し、真っ向から竜と激突する。空中でまるで二つの星が交わるかのような爆発的な衝撃波が炸裂し、猛々しいエネルギーは竜巻の如く四方に巻き起こり、天をも震わせた。空気は引き裂かれ、激流のような気流が瓦礫や塵を巻き上げ、まるで世界そのものが崩壊していくかのようだった。


背後で宙に浮いていた竜の巨体は、その猛烈な衝撃に抗えず、制御を失って大地へと落下する。大地は轟音とともに陥没し、深い巨大な穴が生じ、土煙はまるでキノコ雲のように空へと舞い上がった。


そして一瞬、衝撃の中心からまばゆい極光が炸裂し、天空へと突き抜け、戦場の半分以上を白昼の如く照らし出した。その瞬間、天穹は裂かれ、交わるエネルギーは際立つ白光となって爆発し、まるで太陽が落ちたかのように揺らいだ。


煙塵は立ちこめ、瓦礫が舞う。


遠方にいたカースは即座に異変を察知し、目を細めて戦場を見据える――そこにかつてあった都市の防衛線は、今や紙の壁のように脆く崩れ去っていた。


「どうやら、完全に突破したようだな」彼は低く呟き、抑えきれない興奮を含んだ声で囁いた。


都市の片隅、瓦礫の下に倒れ伏す竜。その巨大な体躯は深く埋もれながらも、まだ息をしていた。胸元はゆっくりと上下し、燃えるような熱を含んだ呼吸は断絶せず、ただ深い眠りに落ちてくれれば十分だ――回復には途方もない時間を要するだろう。


援軍はまだ到着しておらず、この都市は完全に陥落した。


魔物の軍勢は暗潮のように四方八方から押し寄せ、黒々とした群れが街道を覆い、最後の防衛線を洪水のように突破し、都市の奥深くへと染み込んでいく。


草原の影で静かに横たわるニックスは、体中に傷を負い、血に染まった衣を身にまとっていた。彼はゆっくりと目を開け、崩れゆく都市を見据え、まだ帰らぬ仲間たちを思い、カースとの圧倒的な実力差を痛感する。そこには重苦しい絶望、そして自身の無力さが黒潮のように押し寄せていた。


動きたいのに動けず、声を上げたいのに声すら出せない。


「まだ……足りなかったのか?」


その時、意識はまるで見えない力に引き戻され、ニックスは再びあの馴染み深くも冷たい精神の空間へと立っていた。そこには光影がぼんやりと揺れ、静寂だけが支配していた。


耳元で低く、しかし確かな声が囁かれた。


「小僧、どうやら負けたようだな。」

それは幽霊の声だった。


「なんだ、その声……別に嬉しそうじゃないな」ニックスはかすかな笑いと共に応えた。


「仲間よ、早く奮い立て!」横の精霊が焦り混じりに声をかける。


「でも俺は…あいつとは力の差がありすぎる。それに今この混乱の中で、落ち着いて考える余裕なんて全くない…」ニックスは小さく呟いた。その声には苦渋が滲んでいた。


「何故"冷静"にならなきゃいけない?戦闘中にそんな余計なこと考えても、何になる?勝てるのか?」幽霊の声が冷たく響く。


「余計な雑念ばかりが溜まって、結局今のように――何もできなくなるだけだ。」



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