第7話12炎の後には何が残るのでしょうか?
氷と火炎の激突の瞬間、世界は静寂と轟音の狭間で揺れた。
村長の右拳が突き上げられ、彼の全生命を込めた最後の一撃が放たれる。氷の魔力が凝縮されたその拳は、炎の嵐に飲み込まれるかのように見えたが、次の瞬間、氷は轟音とともに広がり、火炎と激しくせめぎ合った。
氷は決して冷たくなく、火炎は決して灼熱ではなかった。
どちらも破壊のためではなく、何かを守るために存在していた。天を裂く閃光、地を揺るがす爆風、圧倒的な力がぶつかり合い、すべてを飲み込む光が世界を覆った。
そして——
火炎は退けられた。村長の身体が、音もなく崩れ落ちる。
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一週間後
ニックスは暗闇の中で目を開けた。
全身に巻かれた包帯が痛々しく締め付ける。視線を巡らせると、傍らの机の上に、焦げて変形した帽子がぽつりと置かれていた。指先でそっと触れると、布地の端が崩れ落ち、細かな灰となって舞い散る。
「……少し待っていてくれ。すぐ戻る。」
かすれた声でそう呟き、ニックスは立ち上がる。黒いコートを羽織り、剣を手にすると、部屋のドアを押し開けた。
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リードの病室
陽の光が差し込む部屋。
リードは木製の椅子に腰かけ、深いため息をついていた。包帯の隙間から覗く傷跡が、戦いの激しさを物語っている。
「リード、調子はどうだ?」
ニックスの問いかけに、リードはゆっくりと顔を上げる。
「……あまり良くはないが、まだ完全には回復していない。ただ、村長よりは幸運だったよ。」
その言葉に、ニックスは無意識に拳を握りしめる。
「そうだ、今日村長のところに行ってみてくれ。」
リードの言葉を背に、ニックスは病院の建物を見上げた。
ここには、かつて自分も入院していた。
馴染みのある階段をゆっくりと上る。
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夢子との出会い
廊下の角を曲がると、夢子がこちらを見て微笑んでいた。
「ニックスじゃないか。傷はもう治ったのか?」
「まあ……だいたいはな。」
「それならよかった。君は今回の大英雄だからな。」
「大英雄か……あれは村長だよ。」
苦笑いを浮かべながら答えると、夢子は肩をすくめた。
「まあ、そんなに落ち込むな。村長に会いに行ってみなさい。」
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村長の病室
木の扉を静かに押し開ける。
部屋には静寂が満ちていた。淡い光がカーテン越しに差し込み、室内を優しく照らしている。
ベッドの上に横たわる村長。
その身体は、包帯で覆われていた。顔には深い傷跡が刻まれ、まるで長い眠りについているようだった。枕元には、使い込まれた杖が立てかけられている。
ニックスはそっと歩み寄り、村長の寝顔を見つめた。
「……村長。」
言葉はそれ以上続かなかった。
外では、かすかに風が吹き抜け、朝陽が新しい一日を照らしていた。




