第46話 17 魔導の絆
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サンディとエリーサは、崩れかけたがまだ堅固な石の遮蔽物の裏に身を潜めていた。息を整えながら、辺りには魔法の焼け焦げたような匂いが漂っていた。
「また会えたね……」エリーサは静かに呟き、琥珀色の瞳でサンディを心配そうに見つめた。「また君に会えて、本当に良かった。怪我はしてない?」
サンディは小さく微笑みながら、額ににじむ汗を拭った。「大丈夫。少し擦り傷を負っただけ。あのバリアを破る方法が分かったの。ただ、君がその間だけでも防御してくれれば――」
エリーサは力強く頷いた。二人は合図もなく同時に遮蔽物から飛び出し、まずエリサが素早く右側を確認、迫りくる魔物に向けて魔法を放った。
「水魔法――流星雨!」
無数の水の矢が天から降り注ぎ、魔物たちを次々と貫いた。
「今よ!」サンディが叫ぶ。
エリーサはすかさず結界魔法を展開し、二人の周囲に水晶のような防壁が広がり、四方からの攻撃を防いだ。その隙に、サンディの杖が淡い光を纏い始める。
額には王冠が浮かび上がり、全身からは白く眩しい魔力があふれ出す。まるで夜空に浮かぶ小さな太陽のように、辺り一帯を照らした。
「見つけた……弱点!」
サンディは呟き、杖先から光速のごとく放たれた純白の魔法がバリアを直撃。轟音と共に炸裂し、防御壁が粉砕された。
そして煙が晴れた時、赤く燃える光が交差する。エリーサとサンディの杖が交差し、魔力が重なり合って共鳴する。熱と光が混ざり合い、ひとつの形となって前方へと向けられた。
「火魔法――超巨大火竜!!」
二人の杖から生まれた炎の龍が、天を裂くように魔物たちに突進する。その炎に触れた魔物は一瞬で灰と化し、火竜は空高く舞い上がって炸裂した。
その光景に、エリーサは歓喜の声を上げながらサンディに抱きついた。
「やったー! 見た? 私たち、最高にカッコよかったよね!」
サンディも微笑みながら静かに頷く。「本当に良かった……君が無事で。もし傷でも負ってたら、大切な友達を失うところだった……」
エリーサは照れ笑いを浮かべ、頬をサンディに擦り寄せるようにスリスリと押し当てた。
「はいはい、そういう話は戦いが終わってからね」
サンディは苦笑しつつ、前方の戦場に視線を戻す。
「さあ、行こう。私たちの戦いは、まだ終わっていない。魔物の侵攻を、ここで止めるのよ!」
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