第46話 13「ガーディアンズの黙示録」
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「まさか……あいつ、まだ生きてるんじゃないだろうな。」
周囲の魔物たちがざわつくように呟いた。
一方、サンディの戦場は極めて厳しい状況だった。
彼女は防御魔法の弱点を見極め、そこへ一点集中の魔法攻撃を放つことで何とか突破口を開いていた。
だが、彼女の周囲を取り囲む魔物たちは、あえて隙を作らせまいと絶え間なく攻撃を仕掛けてくる。
集中を妨げられ、回避に徹するサンディ。空気は焦げたような緊張感に包まれていた。
そして、徐々に魔物たちの距離が縮まっていく——。
突如、防御の結界の後方から、数体の魔物が襲いかかる。
至近距離での戦闘、それは魔法使いにとって最大の死角。どれほど優れた術者であろうと、至近の暴力には抗えない。
「っく……!」
魔物が巨大なハンマーを振り上げ、容赦なく叩きつけた。
その衝撃でサンディの身体は地面にめり込み、土埃が舞い上がる。
それ以降、彼女から魔法の気配は感じられなくなった。
同じ頃、ザックの戦場でも苦境が続いていた。
「……はあ、これだからアンデッド系は嫌いなんだよ。」
彼は忌々しげに呟きながら、目の前の骸骨の大群に拳を叩き込む。
ザックは強力な一撃魔法を持たない。だからこそ、この不死の軍団は天敵だ。
砕いても砕いても、骨は勝手に集まり、すぐに立ち上がる。
一体倒せば、代わりに二体が現れる——そんな悪夢のような展開だった。
「連携しないと……でも、これじゃ逃げることもできない。」
ザックの周囲を、亡者の群れが波のように押し寄せる。
魔力で強化した拳で応戦しても、敵は次々に立ち上がり、再び包囲してくる。
「これじゃ……操ってる奴を探すどころじゃねえ……!」
骸骨たちが次々にのしかかり、彼の身体を完全に覆い尽くす。
その姿はまるで、白く禍々しい山のようだった。ザックの姿は、闇の中に沈んでいく——。
別の戦場。
ナイトは、砕けた大地の上で再び立ち上がる。
「……何度でも、俺は立ち上がる。」
魔物は嘲笑うように声を上げた。
「何度立ち上がろうと意味はない。俺たちの“本当の”戦力は、まだ出ていないんだ。」
「たとえお前がこの波を凌いでも……次が来る。その次もある。」
「お前たちの援軍は?来やしないさ。来た頃には、ここには……ただ瓦礫が残るだけだ。」
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