第46話 08 《星落と魔影》
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都市全体の人々が、まるで押し寄せる波のように中央広場へと集まっていた。 街路は人々の波で埋め尽くされ、一歩踏み出すことすら困難なほどだった。 焦燥の声が人混みの中で次々と響き渡る。
「そこの子供が押し倒されそうだ!道を開けて!」
「お願いだから、少し前に進んでくれ!」
しかし、誰もが自分のことで精一杯で、他人の声に耳を傾ける余裕はなかった。 それぞれが恐怖に満ちた目で前へと進もうとし、遠くからは断続的な爆発音や金属のぶつかる音が微かに聞こえてくる。 それは、怪物と戦っている騎士団の戦闘音だった。
「大丈夫だよ……私たちが守るからね。」
両親は子供をしっかりと抱きしめ、四方八方から押し寄せる人々の波から守ろうとしていた。 母親の手は微かに震えていたが、それでも安心させようと微笑みを浮かべていた。
その時、轟音が混雑した空気を切り裂いた。 怪物の攻撃は一層激しさを増し、兵士の中にはその場で吹き飛ばされる者もいた。 鎧は悲鳴のような金属音を立てて歪み、いくつかの魔物が前線の防衛を突破し、瓦礫を越えて市民たちの元へと迫ってきた。
その魔物たちは形態も様々で、牙を剥いたゴブリン、山のような巨体を持つ牛魔、骨の鎧を纏った飛禽類の魔物など、多種多様な存在が混在していた。 彼らは制御を失った野獣のように咆哮しながら人々の中へと突進し、混乱は瞬く間に恐慌へと変わった。
「前の人、早く進んで!後ろから魔物が迫ってる!!」
後方から誰かが絶望的な声で叫んでいたが、前方は依然として動けない状態だった。 広場全体の空気は極限まで張り詰め、今にも崩壊しそうな緊張感が漂っていた。
「大丈夫、怖がらないで!」
夜空を一筋の閃光が走り、突進してきた魔物が一瞬で真っ二つに斬られ、血の霧が空中に舞った。 続けざまに爆発音が響き渡り、魔法の轟音が群れを成す魔物たちを吹き飛ばした。 ――ナイトたちの一行がついに現場に到着した。
「これは一体どういうこと……数分前までは静かに漫画を読んでたのに。」
エイトは手にした杖の血を払いながら、ぶつぶつと呟いた。
「また夜更かししてたのか?何度も言ってるだろ、徹夜は体に悪いって。」
ナイトは大剣を振るい、別の魔物を斬り伏せながら軽快に、しかし警戒を怠らずに言った。 「でも、この規模を見る限り……計画的な襲撃だな。どうやら王都会議を狙っていたようだ。」
彼らは会話を交わしながらも、近づいてくる魔物を手際よく排除していった。
「これだけ多様な魔物が一緒にいるなんて……普通ならあり得ない。絶対に背後で操っている者がいるはずだ。」
ザックは低い声で言いながら、魔力で強化された腕を岩のように硬くし、一撃で魔物を石壁に叩きつけ、石片が四方に飛び散った。
「とにかく……昨夜の奇襲で騎士団は大打撃を受け、今戦える者は全員前線に出ている。」
サンディは広範囲の炎の魔法を放ち、魔物の群れを外周で食い止めていた。 彼女の長い髪は爆風に舞い、目には冷静で確固たる光が宿っていた。
「くそっ、また来やがった……!」
ナイトは盾を掲げ、突進してきた魔物の攻撃をしっかりと受け止め、続けて大剣を振り下ろし、一撃で首を斬り落とした。 その動きは実に見事だった。
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