表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10万pv突破しました!!!【每日更新】史上最強の幽霊剣士  作者: Doctor Crocodile


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

734/1125

第46話 06 穏やかな別れ




---


翌日の王都会議はあっという間に幕を下ろした。まるで重たい夢の終わりのように。


午後の陽射しが柔らかく石畳の道に降り注ぎ、空気にはかすかな青草の香りと、城壁の外から届く初夏の熱気が漂っていた。ニックスたちは荷物を背負い、ゆっくりと城門へ向かって歩き出す——思い出の詰まったこの王都を離れ、新たな旅路へと足を踏み出すために。


城門では、ナイト、サンディ、ザックの三人がすでに待っていた。陽の光の下で伸びた彼らの影は、遠ざかる友情のように長く映っていた。


「時間が経つのって、本当に早いな……」 ザックはため息をつき、名残惜しさと感慨を込めて言った。「もう君たちが旅立つなんて……きっと次に会うときには、今よりもっと強くなってるんだろうな。」


「なんだか、ちょっと寂しくなるね。」 サンディはいつもの優しい笑顔を浮かべ、風のように穏やかな声で言った。「時間があったら、またいつでも帰ってきてね。」


「この広い世界で、また会えるって信じてるよ。」 ナイトは微笑みながらニクスの肩を軽く叩き、そして気楽そうに付け加えた。「でもさ、あんまり朝早くだと……俺、起きられないかもな。」


「そういえば……エイトは?」 ニックスは周囲を見渡し、不思議そうに尋ねた。彼女が見送りに来ていないことが気になったのだ。


「エイトね、昨日の夜にマンガを読みすぎて、結局寝坊したらしいよ。」 ナイトは肩をすくめ、苦笑いを浮かべながら言った。「まあ、どうせいつもの言い訳だろうけどな。」


「彼女、普段は一人が好きで、あんまり喋らないタイプに見えるけど……実は、一番こういう別れの場面に弱いんだよね。」 サンディはそっと語り、そこには相手をよく知る者の優しい洞察が滲んでいた。


ザックは静かに頷き、そして皆で手を振りながら別れを告げた。


「ねえ……」と、サンディがふと呟いた。「エイト、今どこかの隅っこで、ひっそりと悲しんでたりするのかな?」


「俺は金貨二枚に賭けるね。」 ザックはすぐに反応し、戦術の話をするかのような真剣な顔で続けた。「あのマンガに対する狂信的な執着を見る限り、二時間もあれば元通りになるさ。」


「じゃあ、俺も金貨二枚でいこう。」 ナイトは笑いながら手のひらを広げた。「でも俺は、彼女が回復するのは明日になってからだと思うな。」


「ちょっとちょっと、あなたたちひどくない?」 サンディは腰に手を当てて怒ったように言った。「仲間の感情をお金で賭けるなんて、私は金貨四枚!——彼女、今夜きっとこっそり泣いちゃうよ。」


「おいおい、君の役割って“心優しいお姉さん”じゃなかったっけ?その感情の変わりようは何なんだよ!」 ザックは思わず突っ込んだ。


「それはね、特別な人の前だけだよ。」 サンディはいたずらっぽくウインクしながらそう答えた。


ナイトはそれを聞いて腹を抱えて笑い出した。その笑い声は風に乗って広がり、まるで旅立ちを告げる鐘の音のように遠く、そして澄んでいた。


こうして彼らは、城門の前でしっかりと別れを告げた。


ただ——この中の誰一人として、今日という日、この何気ない別れの後に、この国全体がほぼ滅亡の淵に立たされるとは、誰一人として予想すらしていなかったのである。



---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ