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第46話 02 「喧騒と、揺れを止めた水晶のシャンデリア」



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ニックスは肩をわずかに強張らせ、顔には緊張の色が浮かんでいた。これから何が起こるのかはわからない。ただ、王が席に着いたその瞬間から、この会議が平穏で終わることはないと、彼は直感していた。


王は出席者たちを一望し、低く重みのある声で語り始めた。「諸君。今回の会議の主題について、すでに多少は耳にしている者もいるだろう……だが、単刀直入に言おう。」


その声は高くそびえる会議室の中で反響し、一語一句が出席者の胸に打ちつけるようだった。


「今回の会議には、二つの議題がある。ひとつは魔法石の扱いについて。そしてもうひとつは――」王は一瞬言葉を区切り、鋭い視線を走らせた。「我が王国に現れた新たな脅威についてだ。」


その瞬間、議場の空気が一気に重くなった。


「かつて我々は、とある場所に魔法石の痕跡があるとの報告を受け、調査隊を派遣した。だが……その隊は戻ってこなかった。その後の調査によって、現地で反乱が起きていたことが判明した。そして最も重要なのは――現地の領主が魔法石を手に入れた後、かつて我々が却下した『M計画』を勝手に始動させたという事実だ。」


その名を聞いた瞬間、ニックスの表情が変わった。眉をひそめ、顔を曇らせる。彼はその計画の内容を知っていた。そして、それこそが彼が心の底から忌み嫌うものだった。


「……あの領主、正気じゃない。」彼は小さく歯を食いしばり、怒気を帯びた声でつぶやいた。「魔法石を、あんなことに使おうだなんて……すぐにでも国に提出するべきだろうに。」


そのとき、別の代表が割って入った。「ふん、結局は利益を独り占めしたいだけさ。もし奴の計画が成功すれば、『M計画』の功績はすべて奴のものになる。そうなれば今後の方針も全て奴の思い通り……他の者に任せるはずがないだろう。」


「よろしい。」王はその会話を遮るように言った。軽く咳払いをして場を静め、さらに重々しい声で続けた。「確かに、今日の会議はざわついている。だが――もっと重要なことがある。」


そして、次の言葉をゆっくりと口にした。


「最も深刻なのは……我々の魔法石が、『創世』と呼ばれる謎の組織に奪われたという事実だ。」


その言葉は雷鳴のように会場に轟き、一同は息を呑み、しばし言葉を失った。


「この件を君たちがまだ知らないのも無理はない。」王は続けた。「私自身、先ほど衛兵からの報せで知ったばかりだ。」


「創世……」その名を耳にした瞬間、ニックスの身体がビクンと反応した。数日前、自分たちを襲ったあの仮面の集団――あれがまさか……?


「まさか……奴らが……」ニックスの胸に、言いようのない不安が広がっていった。それはまるで、黒雲が心に覆いかぶさるようだった。


「そして」王はさらに声を低くしながら語った。「その組織は驚くほどの力を持っており、バイステの部隊さえも退けたのだ。」


その言葉に、会場の緊張が一気に高まった。ざわめきがあちらこちらで起きる。


「あり得ない……国王陛下が“最強の戦士”と呼ぶ男でさえ、敵わなかったというのか?」


「バイステだぞ……あのバイステに……?」


「静粛に!」王の側近が鋭く声を張り上げた。その声は鋭い刃のように空気を切り裂き、混乱を一瞬にして鎮めた。


再び静寂が戻った会議室には、頭上の三つの魔力水晶灯だけが、静かに、しかし不気味に煌めいていた。それは、嵐の前触れのようにも思えた。



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