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第45話 04 「発見、そして発見されること。」




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兵士はその言葉を聞いた瞬間、驚愕の色を隠しきれなかった。まるで稲妻が静寂な空を裂いたかのように、その衝撃は彼の心を揺さぶった。


「そういうことか……なら、今すぐ包囲しなければ!」

彼は思わず声を上げ、その声には切迫と恐怖がにじんでいた。


サムランは氷のような厳しい眼差しを向け、力強くうなずいた。

低く重い声で命じるように言う。


「まずは店内の人間を迅速に避難させろ。それから全ての出入り口を封鎖し、完璧な包囲網を築くんだ。一切の隙を作るな、一筋の逃げ道も許すな――奴に呼吸する余地すら与えるな。」


彼は立ち上がると、マントが椅子をかすめて翻り、まるで夜明けの光を裂く影のように鋭く走った。


「一刻の猶予もない――今すぐ動け!」

声は低くとも揺るがぬ決意に満ちていた。

「一秒でも遅れれば……奴は煙のように消え失せる。次に見つけるのは至難の業だ。」


その頃、ニックスたちはホテルの一室で作戦会議を終えたばかりだった。全員が頷き合い、緊張の中にもわずかな希望が漂っていた。


しかし――その空気を打ち破るように、シャーが不意に険しい顔つきを見せた。眉をひそめ、鋭い眼差しで周囲を見回す。


「……気のせいか?」

彼はつぶやいた。が、すぐに立ち上がり、声を低くして言った。

「いや、違う。魔力探知は誤魔化せない。周囲の魔力が急激に濃くなっている……それに、とてつもなく強力な魔力が――ものすごい速度でこちらに向かってきている。」


エリーサは慌ててホテルの扉へと駆け寄り、その扉を開いた瞬間、息を詰まらせるような圧力が押し寄せてきた。


「みんな、見て……」

彼女の声はかすかに震えていた。

「店の中の人たちが、次々と外へ出ていってる……」


フィードはすぐに窓際に駆け寄り、カーテンを勢いよく引いた。外を見たその瞬間、眉間に深いしわを寄せた。


「いやぁ……これはまずいな。あの隊長、兵を連れて戻ってきてる。しかも、大勢だ。」


その言葉に、ニックスの顔が一気に暗くなった。瞳の奥に焦燥の光が走る。


「……魔法石……」

彼は低くつぶやいた。その声には、何よりも重たい危機感が宿っていた。

「もし奴らの目的が魔法石なら……僕たちは全員、捕らえられる可能性がある。」


シャーとニックスが目を合わせたその刹那、二人は互いの意図を理解し合った。シャアはためらうことなく再び隠蔽結界を起動し、魔力の波紋が静かに、しかし確実に空間へ広がっていった。


その時、玄関のドアが「カチャリ」と開いた。


入ってきたのはナイトだった。


「急げ、ここからすぐ離れるぞ。」

彼は声をひそめ、しかし緊迫した口調で続ける。

「誰かが……このホテルを徹底的に調べようとしている。」


八人は一切の迷いもなく、側面の出口から滑るように撤退した。数分後、広々としたホテルには一人も残っておらず、ただ壁の時計だけが静かに時を刻んでいた――まるで、何事もなかったかのように。


一方、通りでは兵士が拡声器を片手に、冷静な声で市民たちへ説明していた。


「市民の皆様、ご心配には及びません。こちらで特別な事件が発生したわけではありません。

ただいま、夢魔の潜伏を確認し、調査を行っております。すぐに終わりますので、通常の生活にお戻りいただけます。」


群衆の中には不安げな人々もいれば、驚きで目を見開く者、無関心に肩をすくめる者もいた。

話題はただ一つ、その言葉に集中していた――


「夢魔? あのホテルに、潜んでたってのか……?」



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