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第7話07氷の竜

——氷と炎、究極のぶつかり合い。


村長の瞳が鋭く光る。


「やるな……だが、甘い。」


次の瞬間、カニディが打ち込んだ拳が村長の顔に炸裂する——はずだった。


しかし、手応えがない。


——「!?」


カニディが驚いたその刹那、村長の身体は音もなく霧散し、氷の欠片となって砕け散った。


「分身か……!」


カニディが舌打ちした瞬間、後方から氷の鎖が閃光のように飛来する。


——ガキンッ!!


両腕に絡みつく冷気の鎖。


瞬時に冷却され、炎の力が封じられる。


「フッ。」


村長の冷たい吐息が響いた。


目の前に瞬時に現れた村長の拳が、カニディの腹部へと深々と叩き込まれる。


——ドゴォッ!!!


猛烈な衝撃と共に、氷山が瞬時に形成される。


カニディの身体はその中に封じ込められ、冷気がその体温を削ぎ落とす。


しかし——


「俺を何度封じようと、同じことだ!!!」


——バキバキバキッ!!!


瞬く間に、氷山が裂け、内部から灼熱の火柱が噴き上がる。


カニディが両手を広げ、その掌に巨大な火焰を灯した。


赤黒い火焰は、まるで底知れぬ悪魔の口のように形を変え、村長を飲み込もうとする。


「——焼き尽くせ!!」


巨大な炎の顎が、咆哮を上げながら村長へと襲いかかる。


だが、その炎が村長の肌に触れた瞬間——


——ジュゥゥゥ……


音もなく、炎は瞬時に凍りついた。


「な……に?」


カニディの目に、ほんの一瞬驚きが浮かぶ。


「お前はまだ、俺の本当の力を知らない。」


村長は指を組み、ゆっくりと空へと向ける。


その瞳には、まるで天地すらも支配するかのような冷徹な光が宿っていた。


「——氷の龍、目覚めよ。」


——ゴゴゴゴゴゴ!!!


空が揺れた。


雲が裂け、巨大な影が天から降臨する。


全身を纏うのは、純白の霜。


その目は深淵のような氷の輝きを放ち、王者の威厳を誇っていた。


「氷霊龍——顕現。」


村長の言葉と共に、氷の龍が咆哮を上げる。


その声は嵐を呼び、戦場の空気すら凍てつかせるほどの威圧感を放っていた。


「ハッ、ドラゴンか……」


カニディは笑みを浮かべるも、どこか緊張の色が見え隠れする。


——ドォォォン!!!!


氷霊龍が一瞬で距離を詰め、巨大な爪を振り下ろす。


カニディは回避しようとしたが、その速さに追いつけず、腹部に爪が突き刺さる。


「ぐっ……!!」


カニディは凄まじい勢いで地面に叩きつけられ、大地に巨大なクレーターが刻まれる。


氷霊龍はさらに巨大な口を開き、極寒の息吹を吹きつけた。


——カニディの身体が、一瞬にして氷塊と化す。


村長は静かに見下ろす。


「終わりだ。」


しかし——


バキィッ!!!


氷塊が砕け、カニディの手が飛び出す。


「クク……ドラゴンごときで、俺を止められると思ったか?」


カニディの口元が歪む。


——ズガァッ!!!


次の瞬間、カニディは氷霊龍の巨大な爪を片手で掴み、力強く握り込んだ。


その握力だけで、爪の表面に亀裂が走る。


村長の目が、一瞬だけ驚きに揺れる。


「強すぎる……」


思わず口をついたその言葉を、カニディは嘲笑で迎えた。


「今さら気づいたか?」


カニディの両手が燃え盛る炎と化し、龍の爪を引き千切るように持ち上げる。


——ズオオオッ!!!!


旋風が巻き起こり、大気が揺れる。


カニディはそのまま、氷霊龍を空中へと投げ飛ばした。


「消し飛べ。」


左手を巨大な炎の剣へと変え、振り下ろす。


——ザンッ!!!!


一閃。


氷霊龍は真っ二つに裂けた。


氷の欠片が散り、空に白い霧が舞い上がる。


——沈黙。


カニディはゆっくりと振り向き、村長を見据える。


「さて、次はお前の番だ。」


村長は、静かに息を吐いた。


戦いは、まだ終わらない。



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