表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10万pv突破しました!!!【每日更新】史上最強の幽霊剣士  作者: Doctor Crocodile


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

707/1128

第44話 16 矛先をかわす

兵士は雪獅子の方を一瞥し、抑えた声で答える。


「これは、警戒のサインです……周囲に魔物の気配があるということ。」


彼の目が鋭く光り、確信に満ちた口調で言う。


「間違いありません……我々が探していた夢魔、彼女はこの館の中に潜んでいます。」


その言葉に、ニックスの指が強く握りしめられ、拳は無意識に固まっていた。瞳孔がわずかに縮まり、心の中では次々と考えが巡っていく。


――まずい、このままでは……どうすればいい?どうやって彼らを止める?


口を開きかけたその瞬間――


「スゥ……」


突風のように何かが通り抜ける気配とともに、空気に淡い魔力の波が漂った。そこに現れたのは、見慣れた姿だった。



――シャーが、姿を現した。


彼は姿を隠すことなく、魔物としての真の姿をそのまま現し、銀髪は流れるように輝き、冷ややかで計算された気配を纏っていた。


ニックスの目が輝いた。彼はすぐさま、この機会を逃さず言った。


「ああ、そうか!原因はきっと僕の仲間――シャアだ。」


そう言い終えるとすぐ、彼はシャアに視線を送り、その目で無言の指示を伝えた。


「彼は“魔物使い”です。その力が、雪獅子に魔物の存在を誤認させたのかもしれません。」


シャーはニックスの意図を即座に理解し、目をわずかに細めると、指先で空中に素早く数個の印を描いた。


次の瞬間、彼はまだ見つかっていなかったセレナを、先ほど少年と出会った時に使用した結界に封じ込め、水のように滑らかに人間の姿へと戻る。彼女の態度は最初から何もなかったかのように落ち着いていた。


雪獅子は彼をじっと見つめた後、ゆっくりと頭を下げ、静かに元の場所へと戻って咆哮を止めた。


「見ただろう?やはりそういうことだったんだよ。」


ニックスは両手を広げ、いつもの穏やかな笑顔を浮かべながら言った。


兵士は静まった雪獅子を一瞥し、抜きかけた剣をそっと鞘に戻した。彼は少し俯き、申し訳なさそうに言った。


「……申し訳ありません。先ほどは早とちりでした……次からはもっと注意します。」


そう言って深く一礼すると、彼はそのまま立ち去り、夜の闇にその姿が溶けていく。残されたのは、扉のそばで揺れる灯火が、かすかに揺らめくのみだった。



---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ