第7話06火の波vs氷の波
炎と氷、究極の激突——
雪の結晶が、まるで狙いすましたかのように地面に倒れたカニディの胸元へと突き刺さった。
——その瞬間、氷霜魔法が発動する。
「——氷山!」
村長が冷徹に呟いた。
突如として、氷の魔力が爆発的に拡がり、一瞬のうちに巨大な氷山を形成。
カニディの身体は、その氷の牢獄に完全に閉じ込められた。
だが——それも束の間のことだった。
——バキバキバキッ!!!
数秒もしないうちに、氷の温度がゆっくりと上昇していく。
ゴゴゴゴ……!!
氷山全体が震え出し、亀裂が次々と広がる。
「フッ……こんなものが俺を止められると思ったか?」
カニディが不敵な笑みを浮かべると、
——ドォォン!!!!
氷の層が爆発するように砕け散り、灼熱の炎とともにカニディが飛び出した。
その周囲の氷も、彼の放つ圧倒的な熱によって一気に蒸発していく。
「こんな程度で俺を倒せると思っているのか?」
カニディは炎を纏った体を誇示するように広げながら、勝ち誇った笑みを浮かべた。
「……ちょっと厄介だな。」
村長は静かに呟く。
その瞬間——村長の全身がゆっくりと氷に覆われていった。
まるで冷気そのものと一体化するかのように、髪も髭も、全てが白銀に染まり、氷の鎧を纏ったかのような姿へと変貌していく。
カニディと村長——炎と氷。
戦場に立つ二人は、互いに目を逸らすことなく睨み合った。
「……来い。」
村長が低く呟きながら、両手を組む。
カニディも、それに呼応するように両手を組み、笑みを浮かべた。
「来い。」
——次の瞬間、二人は同時に叫んだ。
「氷の波!!!」
「火の波!!!」
——ドォォォォォン!!!!
二つの強大なエネルギーがぶつかり合った瞬間、戦場全体を揺るがす大爆発が巻き起こる。
氷の嵐と炎の嵐が、まるで世界の全てを飲み込むかのように衝突し、激しい蒸気が一瞬にして辺りを覆い尽くした。
地面が割れ、大気が震える。
視界がほとんど遮られるほどの白い霧の中、二人の影が交錯する。
——突然、カニディが動いた。
彼の右腕がみるみる巨大化し、燃え盛る炎の拳となる。
「——砕け散れ!!」
カニディはその巨大な拳を村長目掛けて振り下ろした。
——ズガァァァン!!!!
その圧倒的な力を持つ一撃が、大地を揺るがしながら村長に襲いかかる。
しかし——
村長はその瞬間、鋭い反応速度で右へと身を翻し、寸前でその攻撃を回避する。
「甘い。」
村長は即座に左手を前に突き出し、瞬時に五本の鋭い氷の刃を形成。
そのままカニディへ向かって、矢のように射出する。
カニディはすぐさま右手に巨大な火球を生成し、それを盾のように掲げて氷の刃を迎え撃つ。
——バシュン!! バシュン!!
火と氷が激しくぶつかり合い、激しい蒸気を生み出す。
その間隙を突いて——
カニディが一気に村長へと接近。
村長は即座に反撃の構えを取る。
しかし——
「——!」
予想外の動きが起こる。
カニディが両手を素早く振り上げ、村長の顔の左右を同時に殴りつけたのだ。
——パァン!!!
鋭い衝撃音が響き渡る。
村長の視界が一瞬揺らぐ。
その刹那——
カニディは素早く身を屈め、村長の反撃を巧妙に避けた。
——戦場は、さらなる混沌へと突入していく。




