第1話 07フラミンゴの登場です。
ニックスはすぐにその風圧に対して防御態勢を取った。足を踏ん張り、風の流れを感じ取るようにして力を込めたが、鳥の回転速度が増すにつれて、空気がうなりを上げ、周囲の木々が揺れ動き始めた。まるで竜巻のような力がニックスを引き寄せようとする。
**「くそっ、これではただの風圧で吹き飛ばされる!」**ニックスは焦りながら、剣をしっかりと握りしめた。「覚醒した力を、今こそ使うときか!」
**「その通り、今がチャンスだ。元素の力を引き出すんだ。」**剣の声が静かに告げる。
ニックスは深呼吸をして、再度剣を構えた。強い風圧に耐えながら、彼は剣の中の風の元素を感じ取る。それは、まるで剣の中に眠る力が呼応するように、彼の体に流れ込んできた。
**「風の精霊よ、力を貸してくれ!」**彼は心の中で念じると、剣が微細な震えを感じさせ、刃先が青い光を放ち始めた。風の力が、彼の体を支えるように広がり、ついに彼は風の流れに合わせて身を乗り出し、鳥の回転する攻撃に立ち向かった。
その瞬間、鳥が猛烈なスピードで回転しながらニックスに向かって突進してきた。風の力を借りて、彼は足元から空気を引き寄せ、**「風斬り!」**と声を上げて、剣を一閃させた。
剣が放った風の刃が、まるで巨大な竜巻のように広がり、鳥の突進を迎え撃つ。鳥はその攻撃に驚き、一瞬、空中でバランスを崩し、反応が遅れる。そこで、ニックスはもう一度剣を振りかざし、風の力を最大限に引き出して攻撃を放つ。
「これで決める!」
風の刃が鳥の体を貫き、猛烈な勢いでその羽根を切り裂く。鳥は激しい悲鳴を上げながら、空中で一瞬浮かび、次の瞬間、地面に落ちて激しく弾んだ。ニックスは剣を再び振り上げ、力を込めて突き刺す準備をした。
しかし、そのとき鳥が奇妙に体を動かし、また戦闘形態に戻ろうとしているのを見た。だが、今の彼にはその動きが遅く感じられ、すぐにその弱点を突くことができた。
**「終わりだ!」**ニックスはそのまま剣を振り下ろし、鳥の体を貫通させた。すると、鳥の体から黒い煙のようなものが立ち昇り、何かが爆発的に広がるような感覚が走った。すぐに、鳥は消え去り、その姿が完全に消失した。
ニックスはその場に倒れ込むように膝をつき、荒い息をつきながら剣を握りしめた。戦闘が終わったものの、心はまだ落ち着かない。
**「ふぅ……なんとか倒せたが、まだ力不足だな。」**彼は自分の力不足を痛感していた。とはいえ、この戦闘を通じて少しは強くなった気がする。そのとき、剣の声がまた聞こえた。
「お見事、ニックス。あなたは進化しつつある。」
「進化?」ニックスは少し驚いた。「つまり、俺はまだまだ強くなれるってことか?」
「もちろん。これからもっと修行して、覚醒の力を使いこなせるようになれば、あなたはこの世界でもトップクラスの戦士になれる。」
ニックスはその言葉を胸に、立ち上がった。傷はまだ治っていないが、進むべき道が見えてきた。
**「よし、町に向かう前に、もう少し修行をしておこう。」**ニックスは周囲の自然に目を向けながら、自分の成長を確信した。次の戦いに備えて、彼の冒険は続いていく。