第42話 17 思いがけないお金
「ずっと昔、この辺りで私を召喚した人がいたのよ。」
「確か、王族か何かだった気がする……とにかく、その人からこれをもらったの。」
彼女は得意げにプレートを掲げ、胸を張って宣言する。
「これさえあれば、どんな街でも無料で宿泊できるのよ!すごいでしょ?」
両手を腰に当て、まるで「褒め称えなさい!」と言わんばかりの表情を浮かべるセレナ。
しかし、少年は呆れたように彼女を見つめ、深いため息をついた。
「……お前、頭使ってるか?」
彼は額を押さえながら、信じられないといった様子で続けた。
「何百年前のものだと思ってるんだよ。今も使えるわけないだろ。」
セレナは一瞬固まると、バツが悪そうに頬を掻いた。
「えぇ……そんなに時間経ってたの?」
「だって私にとっては、ほんの一瞬の出来事だったんだもん……」
彼女は小さく咳払いをすると、そっとプレートを服の中にしまい込んだ。
結局、二人はそのプレートの価値を確かめるために質屋へ向かうことにした。
店主はプレートを手に取り、じっくりと観察する。そして、目を丸くした。
「……これは、珍しい素材で作られているな。」
「彫刻の技術も極めて精巧だ……」
「それに、非常に古い……まさに歴史的価値のある遺物だ。」
店主は顎に手を当て、じっくりと考え込むと、興奮したように言った。
「ちょうど今、国際学院がこういう古代の遺物を探していてね。」
「ならば——」
「この金額で買い取ろう。」
彼は筆を取り、帳簿にサラサラと数字を書き込んだ。
少年は覗き込んだ瞬間、思わず目を見開いた。
「……は?……これ、ヤバくないか?」
二人は店を出て、手に入れた厚い紙幣の束をじっと見つめる。
少年はゆっくりと息を吸い、信じられないというように呟いた。
「これで、不滅都市で一ヶ月は暮らせるな……」
「いや、それにしても、稼ぐのが早すぎるだろ。」
彼は肩をすくめ、呆れたようにため息をついた。
「まあ、俺たちは一週間もいれば十分だ。」
「残りは……お前がやりたいことに使えばいい。」
少年はセレナを横目で見ながら、からかうように微笑む。
「不滅都市には面白いものがたくさんあるだろ?お前の退屈しのぎにはピッタリじゃないか?」
セレナは、その言葉にくすっと笑い、意味ありげな微笑を浮かべた。
「ふふっ、やっぱり、あんたは私のことをよく分かってるね。」
彼女はゆっくりと少年に近づき、妖しく目を細める。
「お利口さんには、ご褒美をあげなきゃね?」
少年は反射的に後ずさり、慌てて手で彼女を押し返す。
「い、いや!そんなご褒美いらない!」
セレナはくすっと笑い、悪戯っぽく囁いた。
「ただ、あんたの目を見たかっただけだよ。」
「……さて、何を考えてたのかな?」
少年はそっぽを向き、即座に答えた。
「何も考えてない!」
「へぇ〜?」
セレナはくすくす笑い、楽しそうに言った。
「やっぱり、スケベな子ねぇ〜♪」
「お前えええ!!!」
少年の叫び声が響く中、セレナはますます楽しそうに笑うのだった。




