第41話 16 坊やとお姉さん
彼女は、美しすぎて息を呑むほどの顔立ちをしていた。
それはまるで、最も熟練した彫刻師が細心の注意を払って創り上げた傑作のようだった。冷たく洗練された美しさと妖艶な魅力が絶妙に調和し、どこを切り取っても非の打ちどころがない。精緻に形作られた五官は、どこか気怠げでありながら、同時に致命的な魅力を宿していた。
切れ長の瞳は微かに吊り上がり、その奥には測り知れない深意が潜んでいる。まるですべてを見透かすかのような眼差しには、戯れと危険が交錯しており、ただ見つめるだけで心を奪われ、抗いようもなく魅入られてしまう。
その瞳孔は、底知れぬ夜空のように深遠で、妖しく揺らめく紫、あるいは紅の輝きをたたえていた。微かな光に照らされると、まるで流れる宝石のように煌めき、一瞬で相手の心を射抜く。彼女と目を合わせた者は、まるで悪夢の中に引きずり込まれたかのように逃れられず、心臓の鼓動を速め、堕落を甘受するしかなかった。
わずかに艶を帯びた唇は、ふっと優雅な弧を描く。掴みどころのない微笑みは、無邪気な戯れなのか、それとも緻密に仕組まれた罠なのか――その真意を見極めることは決してできない。
深い紫、漆黒、あるいはワインレッドに染まる長い髪は、まるで夜そのものを流れる絹のようにしなやかだった。指を通せば、滑らかな手触りに思わず酔いしれてしまいそうになる。髪は時に気怠げに肩へと落ち、その動きだけで彼女の優美な首筋のラインを際立たせる。時に風がそっと髪を撫でると、それはゆらりと宙に舞い、まるで生き物のように妖艶な雰囲気を醸し出す。
その肌は、上質な磁器のように白く滑らかで、淡い光さえも反射するかのような柔らかい輝きを放っていた。触れれば消えてしまいそうな儚さと、決して抗えない致命的な魅力。その美しさに、目を奪われない者などいなかった。
彼女の肢体はしなやかで優美だった。細い腰は片手でさえも包み込めるほど華奢でありながら、どこか艶めかしく、黒いドレスの裾から覗く美しい脚は、ほんの僅かに見えるだけで息を呑むほどの存在感を放っていた。歩くたびに揺れるその姿は、優雅でありながらどこか猛獣のような力強さを孕んでいる。まるで暗闇に潜む獲物を狙う捕食者のように――その美しさはあまりにも危険だった。
―この世のものとは思えぬほど、美しく、そして恐ろしい存在。
少年は、彼女をただ呆然と見つめることしかできなかった。胸の奥で心臓が激しく跳ね、鼓動が痛いほどに響く。彼は唾を飲み込み、震える足を何とか前に踏み出し、小さな声で問いかけた。
「あの……あなたは、悪魔ですか?」
その瞬間、彼女は小さく笑った。
その笑い声は、夜風に揺れる風鈴の音のように低く、心地よく、けれどどこか掴みどころのない響きを持っていた。含みを帯びた微笑は、まるで謎をかけるような戯れの気配を含み、彼女の瞳は細められ、少年をじっと見つめる。
「ふふ……なるほどね。あなたが、私を召喚したの?」
彼女の声は、低く甘やかで、どこか気怠げだった。しかし、その響きには抗いがたい魔力が宿っていた。ただ聞いているだけで、まるで心が蕩けてしまいそうな、危険で、けれど魅惑的な響き。
彼女はゆっくりと身をかがめると、白くしなやかな指先を伸ばし、少年の顎をそっと持ち上げた。
その冷たい指先が肌に触れた瞬間、少年の体がぴくりと震える。
「かわいい子ね。」
彼女はくすりと笑い、その瞳に怪しく揺れる光を宿す。
「それで?私を呼び出した理由は何かしら?」
「もしかして……自分の‘欲望’を満たすため?」




