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第6話最終章その日の炎には、ほんのり冷たさがあった

「くそ……十分の五の力ってことは、俺の全力が、奴のたった半分以下だってことか……?」


ニックスは歯を食いしばりながら、目の前の圧倒的な存在を睨みつけた。


(本当に化け物だ……!)


目の前のカニディは、不敵な笑みを浮かべながら、静かに手を掲げた。


「ならば、私の“全力”で、お前を終わらせてやる。」


カニディの指先が空を指した瞬間――


轟音とともに、空が赤く燃え上がる。


まるで天空そのものが燃え盛る大地へと変貌したかのように、無数の炎が収束し、巨大な火の竜巻となってうねり始めた。


ゴゴゴゴゴ……!!


大気が震え、熱風が荒れ狂う。地面が焦げ付き、空気すら燃え尽きそうなほどの灼熱が辺りを包み込む。


だが、それはまだ始まりに過ぎなかった。


竜巻の炎は次第に形を変え、剣、槍、斧、鎌――無数の武器へと凝縮していく。


それはまるで、戦場の神が振るう“炎の軍勢”。


無限とも思えるほどの灼熱の武器が空に浮かび、ニックスを見下ろしていた。


カニディは、冷たい声で囁くように告げる。


「さようなら、ニックス。」


「お前のことは、私の対戦相手として覚えておこう。」


ニックスは、ゆっくりと顔を上げた。


燃え盛る剣の雨。


それが、今まさに降り注ごうとしていた。


(……これで終わるのか。)


絶望が胸を締め付ける。


リード……すまない。


チャーリー、ヘンリー……お前たちの復讐、果たせなかった。


リック、ムコ、みんな……ごめん。


俺は、先に行くよ――


カニディの声が響く。


「万剣一斉発射――!!」


――ズォォォォォン!!!


火焔の武器が、空を覆い尽くし、まるで隕石の雨のようにニックスへと襲いかかる。


だが。


その瞬間――


ニックスの肌に感じたのは、灼熱ではなく、ひんやりとした冷気だった。


(……冷たい?)


違和感に目を開けた瞬間、彼は息を呑んだ。


空中に漂う数万本の炎の武器が、すべて氷に閉ざされ、静止していた。


それは、時間が止まったかのような異様な光景だった。


カニディの顔が歪む。


「……うるさいジジイ、やっと帰ってきたか。」


カニディが握りしめた拳が震える。彼の目の前で、燃え盛る村の炎が、ゆっくりと静まっていく。


まるで、燃え尽きることを許されなかったかのように――。


そこに、一人の老人がゆっくりと歩いてきた。


「遅れてすまなかったな。」


静かに、しかし確かな威厳を持った声。


彼の足元を中心に、地面が凍りついていく。氷の華が広がるように、冷気が大地を覆っていった。


「出かけている間に、こんなことになっていたとはな……。」


ニックスは目を見開いた。


その老人――村長だった。


彼は冷たい視線でカニディを見据えると、静かに言った。


「ニックス、お前はよくやった。少し休んでいろ。」


その言葉とともに、村長の足元から鋭利な氷柱が次々と生え始める。


純白の冷気が渦を巻き、氷の刃がまるで意志を持つかのように蠢く。


村長はゆっくりと上着を脱ぎ、圧倒的な冷気を放ちながら低く告げる。


「さあ――かかってこい。」



これで第6章は終わりです。第6章は本当に長くて時間がかかりました。 気に入っていただけましたか?次は第 7 章を作成するために頑張ります。 また次回会いましょう、さようなら。

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