第41話 06 純白
エリーサとサンディは昨日の買い物を続けながら、賑やかな街並みをゆっくりと歩いていた。陽光が石畳の道に優しく降り注ぎ、道端の露店が元気に客を迎えていた。空気には新鮮なパンと花の香りが漂い、街全体が生き生きとしていて、まるでお祭りのようだった。
「そういえば、昨日あのアルコール入りのケーキを食べた後、あなた一体何をしたの?」エリーサは眉をひそめ、少し警戒しながらサンディをじっと見つめた。「ザックに聞いてみたけど、全然教えてくれなかったのよ!」
サンディは少し驚き、そして意味深な笑みを浮かべて、気軽に肩をすくめた。「うーん、何をしたんだろうね?」
「ねぇ!その言い方、ますます気になるじゃない!」エリーサは不満そうにふくれっ面をし、腕を組みながら少し眉をひそめた。「まあ、でもサンディが変なことをするわけないって信じてるけど…」
その言葉を聞いたサンディの笑顔はさらに深まり、しかし言葉を続けることはなく、ただ謎めいた表情を浮かべた。
二人は静かな時間を楽しみながら、賑やかな通りを歩き続けた。しかし、エリーサはすぐに何かおかしいことに気づいた。
「…今日は街に人が多い気がする。」彼女は周りを見渡しながら、心の中で不安を感じた。「何か起こったのかな?」
彼女の直感はすぐに確かめられた。
前方の通りでは、人々が素早く集まり始めており、何か重要なことが起こっているようだった。人々はひそひそ話し合い、あちこちで耳打ちが交わされていた。二人の目も自然とそのざわめきに引き寄せられていった。
「え?何があったの?」エリーサは小声で呟き、目を人々の群れに向けた。
すぐに、彼女は一つの姿を見つけた――
一団の騎士たちが整然とこちらに向かって歩いてきて、その中でも先頭に立つ男性の姿は、ほとんど瞬時にエリーサの目を引いた。
「わぁ…あの先頭の人、かっこいい…」彼女は思わず声を上げ、目が驚きと称賛の輝きを放った。
しかし、彼女が相手の顔をはっきり見る前に、視界が突然手で遮られた。
「――見ちゃダメ。」サンディは確信を込めた口調で、容赦なくエリーサの目を覆った。
「え?何するの!」エリーサは不満そうにもがき、サンディの手を払おうとしたが、サンディはそれをしっかりと抑え込んだ。
その頃、騎士団はすでに近づいていた。先頭に立つ人物は、典型的な騎士団の制服を身に着けていた――
白を基調に、青がアクセントとして加えられ、内側には純白のシャツ、そこに控えめでエレガントな青いネクタイを合わせていた。外套は上質なベルベット製で、西洋のスーツ風ではあるが、何故かどこかリラックスした雰囲気を醸し出している。
そして、何より目を引くのは、その髪が少し乱れていて、額に無造作に垂れていることだ。整理されていないように見えるが、それでもその姿からは一切乱れた印象はなく、逆にその存在感がひしひしと感じられた。
――彼は、普通の人物ではなかった。
服装は完璧ではないかもしれないし、髪も少し乱れている。しかし、そのオーラや雰囲気は、まさに周囲の誰にも負けない圧倒的な存在感を放っていた。




