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第6話15俺の剣術、第二の剣、流星!

その巨大な炎の獣が、ついに動き出した。


最初はゆっくりと、大地を踏みしめながら前進していたが、それは次第に速さを増し、やがて地響きを伴う全力疾走へと変わる。燃え盛るたてがみが荒れ狂い、熱風が吹き荒れるたびに大地の表面が焦げついていく。


「早く……早く……! 早くしないと、ここで俺は死ぬ!」


ニックスの鼓動が激しく打ち鳴らされる。背中には冷たい汗、だが目の前には灼熱の死神。


炎の巨獣がニックスの目前へと迫った瞬間――突如として、その巨体が大きく跳躍した。


――轟音。


爆発するような空気の振動と共に、まるで彗星のごとく火焰の獣が突進してくる。その姿はまさに破壊の化身、触れた瞬間に全てを焼き尽くす暴虐の塊だ。


(避けられない……! だが、間に合う!!)


その刹那、ニックスの剣先から眩い閃光が放たれた。


「……できた!」


その光は夜空を裂く流星のように輝き、剣全体に宿る。


ニックスは左手を真っ直ぐに伸ばし、右手で剣を握る。そして、剣先を左手の虎口こぐちへとしっかりと押し当てた。


刀身が白銀の光を帯び、刃の周囲に歪むような空間の波紋が広がる。


――その瞬間、炎の獣が目前に迫った。


灼熱の牙が振り下ろされる直前、ニックスは静かに、だが確かな声で呟いた。


「我流剣法・第二式――


――流星りゅうせい!」


刹那、一筋の光が暗闇を貫くように放たれた。


ニックスの剣が閃くと同時に、巨大な炎の獣の胴体に一直線の閃光が突き刺さる。


――ズバァァァァッ!!!


雷鳴のような衝撃音とともに、獣の身体にぽっかりと巨大な穴が開く。


燃え盛る火焔がその穴から乱れ飛び、獣は断末魔のような咆哮を上げながら、一瞬のうちに崩れ落ちていった。


だが、攻撃は止まらない。


ニックスの放った光の軌跡は、そのままの勢いで炎の獣を貫通し、背後のカニディへと突き進んだ。


カニディの眼が一瞬見開かれる。


「……ッ!!」


――ドォォォォン!!!


閃光が炸裂した瞬間、カニディの身体を覆っていた炎の鎧が、粉々に砕け散った。


熱気が弾け、轟音と共に火焔が四方へと吹き飛ぶ。


しばらくの静寂。


熱風が止み、砂煙がゆっくりと晴れていく。


ニックスは静かに剣を下ろし、ゆっくりと呼吸を整えながら、カニディの背後へと歩を進めていた。


彼が次に姿を現したのは――カニディの背後。


カニディの身体は完全に破壊され、炎の鎧も消え去っていた。


静寂の中、ニックスは低く呟く。


「……俺の勝ちだ。」


しかし、油断はしない。


彼は振り返り、火焔将軍――カニディを鋭く見据える。


カニディもまた、深紅の瞳をニックスへと向けていた。


その眼差しは、まるでまだ戦いが終わっていないかのように――。



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