表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10万pv突破しました!!!【每日更新】史上最強の幽霊剣士  作者: Doctor Crocodile


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

616/1125

第40話 02 勝者は……ザック



ザックは小さく息をつき、肩をすくめる。そして、低く呟いた。


「だから俺は、頭の悪い奴とは戦いたくないんだ。」


その瞬間、彼の目が鋭く光った。


「石柱だよ、バカめ。」


ボーディの笑顔が一瞬にして凍りついた。


ザックは冷徹な眼差しで続ける。


「お前の“強酸”が飛び散り、この洞窟のあちこちの石柱を腐食させた。そして俺は、強化された嗅覚を使い、腐食された柱の位置を正確に把握していたんだ。」


ゆっくりと手を持ち上げ、指を曲げる。その仕草は、まるでこの空間そのものを掌握しているかのようだった。


「つまり、こういうことさ。」


パチンッ!


ザックの指が軽やかに鳴った。その音が洞窟全体に響き渡る。


次の瞬間――大地が激しく揺れた!


洞窟全体がまるで意志を持ったかのように唸りを上げ、天井が軋む。鋭い岩の破片が次々と崩れ落ち、地面に衝突するたびに爆音が轟いた。


四方の石柱が一気に縮小し始める。それはほんのわずかな変化だったが、それだけで洞窟のバランスは決定的に崩壊した。


「なっ……!?」


ボーディの目が見開かれる。ついに、彼も気づいた。


「お前の強酸が、石柱を蝕んでいた。その結果、この洞窟の“支え”はもうない。」


ザックの言葉は、まるで死刑宣告のように冷たく響いた。


そして――


ドオォォォォォン!!


轟音とともに、全ての石柱が一斉に砕け散った!


巨大な山体は、もはや自らを支えることができない。バランスを失った洞窟は、まるで崩れ落ちる巨獣のように、破滅の咆哮を上げながら真っ逆さまに崩壊していった――!



崩落の瞬間、生死の境


洞窟が轟音を立て、激しく揺れ動く。岩壁が軋み、無数の岩石が豪雨のように降り注ぐ。舞い上がった粉塵が視界を覆い、大地そのものが悲鳴を上げているかのようだった。


ボーディは歯を食いしばり、両腕に力を込めた。鋼のように鍛え上げられた筋肉が膨れ上がり、全身の力を振り絞って、崩れ落ちようとする巨大な岩を必死に支えた。彼の腕が、今まさに山全体の重みを受け止めていたのだ。


しかし――それほどの怪物じみた肉体を持つ彼ですら、すでに限界だった。全身が悲鳴を上げ、呼吸は荒く、骨が軋む音が響く。汗が埃と混ざり、額を伝って流れ落ちる。


そのとき――


彼の視界の端に、かすかな光が差し込んだ。


背後から、微かに漏れ出る光――


出口……!?


ボーディの目が見開かれる。彼は本能的に光の方向を探った。そして、そこには――


ザックが立っていた。


彼の足元では、一つの岩が縮小していく。縮小した岩の隙間から、細い脱出口が生まれようとしていた。


「クソッ……!」


ボーディは低く唸り、猛獣のような怒声をあげる。焦燥と怒りが入り混じる中、彼は最後の手段に出た。


彼の意識が強酸を操る。


地面に広がっていた腐食液が、獰猛な獣のようにうねりを上げ、一瞬のうちにザックへと殺到する!


高温の酸が空気を裂き、すべてを焼き尽くす悪意となって、一直線に彼の眼球へと襲いかかる――


だが――


「……ッ!!」


――パンッ!


銃声が洞窟に響き渡る。


ザックは迷いなく引き金を引いた。


閃光弾が弾丸のように飛び出し、闇を裂く。次の瞬間――


閃光が洞窟全体を照らした!


眩い光が炸裂し、まるで太陽が生まれたかのように洞窟を燃やす。光の波が広がる中、閃光弾は火花を散らしながら飛翔していた。


その弾丸は、まるで今にも破裂しそうな花火のようだった。


そして――


この一瞬、ボーディとザックは、初めてこの戦場の全貌を目にすることとなった。


無数の石柱が折れ、地面は強酸でボロボロに溶け落ち、洞窟の天井は今にも崩れ落ちそうに揺れていた。


「こんな小細工が、俺に通じると思うか!!」


ボーディは咆哮する。瞳には怒りと軽蔑の炎が揺れていた。


だが――


「ッ!!」


――ズドンッ!!


閃光弾が、ボーディの右肘に直撃した。


一発では、彼に致命的な傷を負わせることはできない。だが――


その一瞬の衝撃が、すべてを変えた。


右腕に走る衝撃。筋肉が一瞬だけ弛緩する。


その刹那――


ボーディの全身がわずかに揺らぐ。


その結果――


「……ッ!!?」


バランスを崩した彼の腕が、わずかに緩んだ。


その瞬間、支えを失った巨岩が――


――崩れた!!


ドオオオォォォン!!!


巨大な岩の塊が次々と落下し、ボーディの体を飲み込む。彼の巨体は瓦礫に埋もれ、姿が見えなくなった。


そして、ボーディが操っていた強酸の奔流。


ほんのわずか――


指先一つ分の距離で、ザックの眼前まで迫っていたそれは――


無力に地面へと零れ落ちた。


「……終わりだ。」


ザックは光の中に立ち、静かに信号銃を下ろす。


唇の端が、わずかに持ち上がる。


「言っただろう?」


轟音と共に、彼の声が洞窟に響く。


冷徹な勝者の声で。


「信号銃は……お前を倒す“要素”に過ぎない。“結果”ではない。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ