第39話 10 月光閃現
エイトが怒声を上げながら剣を振るい、雷光のように蛇の身体を斬り裂いた!
だが——
無駄だった。
剣が触れた瞬間、蛇の身体は霧となり、斬撃をするりと回避する。
——空気は斬れない。
エイトの瞳に焦燥が滲む。
「くそっ! まさかナイトが食われるのか?!」
だがその時——
「ドンッ!!!」
暗闇を切り裂くように、爆炎が炸裂した!
——サンディだ!
彼は蛇の頭部を狙い澄まし、即座に魔法を詠唱した!
「——火魔法・連続火球!!」
ゴォッ! ゴォッ! ゴォッ!
灼熱の火球が矢のように放たれ、長い尾を引きながら一直線に蛇の頭へと突き進む!
「シィィィィッ!!!」
燃え盛る魔法の直撃を受け、巨蛇は苦しげに身をよじった。
その頭部はたちまち毒霧へと変わり、実体を失う!
ナイトはその隙を突き、力いっぱい地面を蹴り、蛇の牙から抜け出した!
「……っぶねぇ!!」
呼吸を整えながら、彼はサンディの方へと視線を向ける。
サンディは険しい表情を浮かべ、低く呟いた。
「……どうやら火魔法なら、こいつに一時的なダメージを与えられるみたいだな。」
「だが——」
サンディは背後のアイトをちらりと見た後、さらに言葉を続ける。
「このままでは、俺たちの薬の効果が切れてしまう……。」
場の空気が一瞬で張り詰める。
皆が無言のまま、眉をひそめた。
「それに……」
サンディは険しい目つきで、洞窟の奥へと視線を移した。
「……ザックが、まだ洞窟の中に閉じ込められている。」
もし、今すぐ撤退できなければ——
たとえあの石を手に入れたとしても、ザックを助ける時間が残されていない!
ナイトは歯を食いしばり、拳を固く握りしめた。
そして、低く、しかし力強く言い放った。
「……もう、やることは決まった。」
「まずは、目の前の二人の敵を倒す。」
「石を奪い取る!」
「そして——」
「ザックを連れて、ここから脱出する!!」




