第39話 09 「食べられた」
——ドンッ!!
轟音とともに、大地が割れる!
ボーディが地面を踏みしめた瞬間——
彼の全身から溢れ出していた強酸が、まるで荒れ狂う大海の波のごとく、四方八方へと奔流し始めた!
——ジュウウウウウウウウッ!!
耳をつんざく腐食音が戦場を覆い尽くす!
波のようにうねる猛毒の潮流が、ボーディの魔力感知に引っかかったザックのすべての影へと、一斉に襲いかかる……!
絶境の戦い、毒蛇の策略
——漆黒の洞窟に、腐食の瘴気が狂ったように渦巻く。
目で捉えられないなら、身体で感じるしかない。
だが今、その唯一の弱点すらも敵に見破られた。
魔力による精密な探知?
——無意味だ!
バウディの顔には邪悪な笑みが浮かび、瞳の奥で狂気の光がぎらつく。
「ならば……すべての目標を、腐食し尽くせばいい!」
***
一方、その頃、洞窟の外では戦いが膠着状態に陥っていた。
ナイト、アイト、サンディの三人は、毒気から生まれた巨大な蛇に絡め取られ、身動きが取れなくなっていた!
息苦しいほどの毒霧が漂い、闇の中に浮かぶ幽緑の蛇影が、不気味に揺らめく。
「……本当に厄介だな!」
ナイトは剣を強く握りしめ、眉を深くひそめる。
攻撃を防ごうとするたびに、敵の身体は霧へと変わり、簡単に防御をすり抜ける。
そして次の瞬間にはまた実体を取り戻し、無慈悲な一撃を叩き込んでくる!
それだけではない——
「どれだけ斬りつけても、本当に傷つけることができない!」
剣が空気を切り裂き、蛇の胴体へと深く食い込む——
だが、傷は瞬く間に消え去った。
「……所詮、空気は斬れない、ということか。」
ナイトは歯を食いしばり、心臓の鼓動が激しくなるのを感じながら、必死に打開策を考える。
——このままでは、ただ消耗させられるだけだ!
苛立ちを噛み殺しながら、ナイトは自分の額を指差し、低く叫ぶ。
「動け、俺の頭!!」
***
次の瞬間、巨蛇の瞳孔がギュッと収縮した。
そして——
「シィーーッ!!!」
それはまるで音もなく滑るように、地を這いながら猛スピードで迫ってくる!
ナイトは身構え、迎え撃つべく剣を振り上げたが——
「まずい!」
こいつ、すり抜けてきた!?
空気が震える。
巨蛇はナイトの防御をものともせずに通り抜け、巨大な口を開けて、彼の身体に噛みついた!
鼻をつくような腐臭が一気に押し寄せる。
まるで死神の口に飲み込まれたかのような、逃れられない絶望感。
鋭い牙が鎧を貫き、冷たい毒素が血管を伝って四肢へと広がっていく。
「ナイト!!」




