第39話 01 毒霧の中の巨蛇
劇毒の戦い
周囲には不気味な紫黒色の毒霧が立ち込め、空気すらも腐食されているかのように、息をするだけで喉が焼けるような痛みが襲ってくる。地面は枯れ果て、草木はすでに朽ち果てていた。岩の表面には黒ずんだ腐食の跡が浮かび上がり、まるで死骸のように無惨な姿をさらしている。
毒霧の中心に立つボーディは、身を包む灼熱の酸液を感じながら、ゆっくりと拳を握りしめた。皮膚の表面からは白い蒸気が立ち昇り、焦げつく臭いが辺りに充満する。体内では熱せられたマグマのような力が脈打ち、彼の興奮を煽っていた。
「みんな、息を止めろ!この毒霧を吸ったら、意識が朦朧として動けなくなる!」
ザックの声が緊張感を帯び、四方に響き渡る。しかし、その警告の言葉もすぐに濃密な毒霧に飲み込まれた。霧は次第に視界を奪い、まるで漆黒の闇の中へと放り込まれたかのような錯覚を覚える。そして次の瞬間——
シュッ!シュッ!シュッ!
四方八方から突如として鋭利な刃のような風が襲いかかる。まるで意思を持つかのように、毒霧の中から無数の刃が舞い上がり、閃光のように閃きながら彼らに殺到した。空気が裂ける音とともに、毒霧の中を切り裂くような軌跡が残る。
「クソッ……!」
反応する間もなく、鋭い一撃が次々と彼らの体を切り裂き、血が飛び散った。ザック、ナイト、そして他の仲間たちは、避ける暇もなく無数の攻撃を浴び、身を切られるような痛みによろめいた。毒霧と血が混ざり合い、暗紅色の煙が立ち上る。
牙は冷笑しながら、一振り手をかざした。その瞬間、四方に広がっていた毒霧がまるで意思を持ったかのように空へと渦を巻きながら集まり、巨大な毒龍のごとく天空に舞い上がる。恐ろしく禍々しい光景だった。
——そして、毒の龍は急降下し、激流のように全員を飲み込もうと襲いかかる!
「危ない!」
ナイトが素早く反応し、巨大な剣を振り上げて防御態勢を取る。しかし、毒霧はただの物質ではない。物理的な障害にぶつかると、まるで生き物のように流れを変え、剣の両側から回り込み、彼らの体を直撃した。
「ぐぁっ……!!」
焼けつくような激痛が全身を駆け巡る。まるで無数の小さな毒蛇が肌から侵入し、血肉を蝕んでいくかのような感覚だった。獰牙は冷酷な笑みを浮かべながら、ゆっくりと拳を握る。
——ドンッ!!
毒霧が一瞬にして爆ぜ、大爆発が起こる!猛烈な衝撃波が周囲を襲い、全員の身体が弾き飛ばされる。まるで布切れのように宙を舞い、地面へと叩きつけられた。土煙が激しく舞い上がる中、彼らは痛みをこらえながらすぐに立ち上がった。
このままでは終われない。彼らは同時に懐から小さな薬を取り出し、一気に飲み干した。
その動作は、一つの決意を示していた——
——速戦即決するしかない!




