表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10万pv突破しました!!!【每日更新】史上最強の幽霊剣士  作者: Doctor Crocodile


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

576/1128

第37話 15ごめんなさい。全部私のせいです

冷たい風が草木の生臭さをまといながら森の中を吹き抜け、疲れ果てた四人の体を撫でていく。ついに、ようやく逃げ出すことができた。ザックはナイトの最後の包帯を巻きながら、低い声で言った。


「治療が終わったら、すぐに出発しなければならない。安全な町を見つけるんだ。」


幸運なことに、混乱の中で逃げる前にザックは地図をちらりと見ていた。そして、彼らが進んでいる方向はまさに王都へと続く道だった。あそこには、最も頑丈な城壁、最も厳重な防御がある。彼らが考えうる中で、最も安全な避難場所だった。


「王都に着いたら、まずナイトを病院に運び、傷をしっかり治療してもらう。その後、この襲撃のことを対応できる人たちに報告して、どう対処するのかを見極めよう。」

ザックの言葉には、力強い決意が込められていた。


だが、彼が言い終わるか終わらないかのうちに、エイトはすでにポケットから漫画を取り出し、ページをめくり始めていた。


「ようやく終わったな……さて、漫画の時間だ。」

まるでさっきの逃亡劇などなかったかのように、平然と言い放つ。


ザックの眉がピクリと動き、信じられないというようにエイトを見つめた。


「こんな時に漫画を読むだと!?お前のメンタルの強さには本当に感心するよ……」


「漫画はいつ読んだっていいさ。」エイトは顔を上げずに、気楽にページをめくる。「時間があれば、それでいい。」


空気にはまだ血と焦げたような匂いが漂っている。サンディは静かに治療魔法の詠唱を続け、指先に淡い光を灯しながら、ナイトの傷口に優しく降り注いでいた。しばらくすると、ナイトの睫毛がかすかに震え、次の瞬間、彼は突然目を見開いた。


「……あの男は?まだいるのか!?」

荒い息をつきながら、ナイトの額には冷や汗が滲んでいた。最後の記憶は、自分があの男に捕らえられた瞬間で止まっている。その恐怖が鮮明によみがえり、心臓が無意識に早鐘を打った。


ザックはナイトの肩に手を置き、低く落ち着いた声で言った。


「もう逃げ出したよ。でも、やつらがいつまた襲ってくるかわからない。常に警戒を怠るな。そして、絶対にもう戦うな……力の差がありすぎる。」


ナイトが目を覚ましたことに気づき、サンディはようやく胸をなでおろした。


「よし、ザックの言う通り、すぐに王都へ向かおう。」

エイトは漫画を閉じ、珍しく真剣な声を出した。

「これ以上時間を無駄にしたら、追いつかれて本当に全滅しかねない。」


サンディはナイトを心配そうに見つめながら、問いかけた。


「でも、ナイトの体は……今の傷の状態で動けるの?走れる?」


ナイトは軽く腕を振り、笑みを浮かべた。


「問題ないさ。サンディが治療してくれたおかげで、もう大したことはない。残りはただの擦り傷みたいなもんだ。時間を無駄にしてる場合じゃない、早く行こう。」


そう言って、彼が一歩踏み出したその時、サンディが突然足を止め、俯いた。小さく震える声で、言葉を紡ぐ。


「……出発する前に、一つだけ言わせて。」


皆が彼女の方を振り返る。


サンディはぎゅっと拳を握りしめ、悔しさに滲んだ瞳を伏せた。


「……ごめんなさい。私のせいで、奴らが来たんだ……」


沈黙が訪れた。森の中には、ただ冷たい風の音だけが静かに響いていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ