第36話 最終章人と人との出会いは、もともと奇跡のようなものだよ
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もちろん、君がいてくれるのは本当に助かるよ。だって僕もエイトも計画を立てるのが得意じゃないし、こんな風に全然違うタイプの人たちが集まって一緒にいるからこそ、面白いんだよね。僕、前にも言ったけど、冒険がすごく好きなんだ。でも冒険って、宝箱や迷宮だけじゃないと思うんだ。人と人との関係も、一つの冒険だと思うんだよ。そう言いながら、ナイトは立ち上がってザックの肩を軽く叩いた。「君がこのチームに入ってくれて本当に良かった。君みたいに気さくな仲間がいるのは、すごく心強いよ。」ナイトは笑顔で言った。
ザックも笑顔を浮かべながら頷いた。「そうだね、僕も君たちと一緒にいられるのが本当に幸運だと思うよ。」
ザックがすっかりリラックスしたその時、ナイトが突然慌て始めた。「やばい!俺の大剣が見当たらない!おかしいな、さっきまで森の近くに置いてたはずなのに。もしかして魔物が持って行っちゃった?それとも風で飛ばされたのかな?」慌てて大剣を探し回るナイトを見て、ザックは横で小さく首を振った。「やっぱりバカだな。でも、バカが二人いるからこそ……」ザックのその言葉は最後まで口に出ることはなかった。
その夜、そよ風が頬を撫でるように吹き抜けていく。焚き火の光と熱は小さな太陽のように暖かく、森の葉はさらさらと音を立てる。頭上の月は雲に包まれて、まるで守られているようだった。ザックは心の中で思った。「たぶん、僕はこの日を一生忘れないだろう。」
朝になり、ザックが目を覚まして目を開けると、木の上で漫画を読んでいるエイトの姿が目に入った。黒い服を身に纏った彼女はどこか神秘的だった。その隣では、サンディが魔法の杖を慎重に拭いている。それは彼女にとって最高の宝物だった。ザックは立ち上がり、服についた埃を払った。
「やっと起きたな!これ以上起きないなら、俺の“強制起床プラン”を発動するところだったぜ!」背後からナイトの声が聞こえた。
「そのプラン、どう聞いても起きられなさそうだけど。」エイトは木から飛び降り、漫画をしまった。サンディも立ち上がり、柔らかい声で言った。「さあ、出発しましょう。」
ほかの三人が前に歩き出すのを見ながら、ザックはその場に立ち尽くしていた。
「何やってるんだ?早くついて来いよ!」ナイトが声をかけた。ザックはハッとして、「あ、いや、なんでもない!」と急いで後を追った。
この森には、すでに消えた焚き火だけが残り、ここで全く異なる四人が出会った奇跡を物語っていた。




