第36話 14 「書物を読めば富を得られる」
サンディは魚がしっかり焼けたのを確認し、数人が焚き火を囲んで座った。エイトが真っ先に焼き魚を一口食べてみたが、眉をひそめた。「全然味がしないよ!こんなの味気なさすぎるでしょ!っていうかさ、どうやってご飯食べながら漫画読むんだよ?これが最高の楽しみなのに!」
ナイトは肩をすくめて苦笑した。「仕方ないだろ。調味料なんてないんだから、食べ物があるだけありがたいじゃないか。それに、こうやって野外で焼き魚を食べる感じ、なんだかワクワクするよな。」
「はぁ、もういい、俺に任せろ!」エイトは突然立ち上がり、周囲で奇妙な形の果実を探し始めた。彼はナイフを使って果実を切り開き、中の種を取り出して粉に挽き、さらにいくつか果物のようなものを火で炙り、果汁を絞り出した。エイトは手早く粉末と果汁を混ぜ合わせ、特製のソースを作り上げ、それを焼き魚にまんべんなくかけた。一連の動作が流れるようにスムーズで、周りの三人は呆然と見つめていた。
「何ボーっとしてるんだ?さっさと食べてみろ!めっちゃ美味しいぞ!」とエイトは得意げに言いながらみんなを促した。
ザックは恐る恐るソースを少し取って焼き魚を見つめた。エイトの普段の性格を思い出して、なんとなく不安を感じていた。「まさか、調味料に恐怖を感じる日が来るなんて思わなかったな……」そう言いながら、ソースを焼き魚にかけ、一口だけ慎重に食べてみた。すると驚いたことに、味は予想外に美味しかったのだ!
他の皆も次々と食べ始め、口々に絶賛した。ナイトは不思議そうに尋ねた。「エイト、どこでこんなの覚えたんだ?料理のスキルなんてないと思ってたけど?」
「漫画で学んだんだよ!」エイトは珍しく上機嫌で語り出した。「実は漫画にはいろんな知識が詰まってるんだ。ただ面白いだけじゃなくて、深く考えさせられることもあるしな。哲学的な概念だって登場するし、実用的な小技だって学べる。漫画一冊一冊が独立した世界で、認識を広げる新しい扉を開けてくれるんだ。」
ザックは納得したように頷いた。「まさか漫画がこんな風に役立つとはな。ちょっと君が勧めてた漫画を読んでみたくなってきたよ。」




