第36話 13 今宵、我ら一堂に会す。
ザックは気だるそうに言った。「どうやら今日は外でキャンプするしかなさそうだな。」
「外でキャンプ!?聞いただけで冒険感があふれていてワクワクするね!」ナイトは満面の笑みで興奮気味に言った。
数人は空いた場所を見つけ、キャンプの準備を始めることにしたが、テントを持ってきていたのはザックだけだった。
「お前ら、全員テント持ってきてないのか?」ザックは呆れたように尋ねた。
「ずっと狼の群れを追いかけていたせいで、途中でいろいろ失くしたんだ。テントも含めてね。」サンディは冷静に答えた。
「そもそもテントを持ってくるなんて考えもしなかったよ。」ナイトがそう言うと、エイトがすかさず続けた。
「確かに。こんなに時間がかかるなんて誰が思うんだよ?一体なんでこんなことになったんだ?」
エイトの質問にザックは完全に言葉を失った。
「なんでだと思う?お前ら二人のせいに決まってるだろ!一人はずっと漫画を読んでるし、もう一人は出かけるときに頭を置いてきたんじゃないかってくらいだし!もともと2~3時間で済む道のりだったのに、丸一日もかけさせられたんだぞ!」ザックはため息をつきながら続けた。
「もういいよ。今は夕飯のことを考えよう。風魔狼の肉は毒があるから食えないし、何を食べたらいいんだ……?」
ザックが困っていると、サンディが少しだけ用意していた食料を取り出した。
「事前に少し魚肉を用意しておいた。でも調味料はないから、焼くしかないけどね。」サンディは淡々と言った。
その食料を見たザックは、驚いた顔で喜びを隠せなかった。
「本当にありがたい!やっぱりここではお前と俺くらいだな、ちゃんと頭を使ってるのは。さて、役割分担しようか。サンディは魚を焼く係、エイトは周囲の見張りを頼む。ナイト、お前は俺と一緒にテントを張るぞ!」
こうしてそれぞれの役割が決まり、行動を開始した。サンディは火系魔法で炎を起こし、切った魚肉を火にかけた。炭が炎の中で燃え、踊るように揺れている。魚肉がじゅうじゅうと音を立てながら焼け、水分が蒸発していく。香ばしい匂いが辺りに漂い始めた。




