第36話 12 この世の全ての出来事には意味があるんだよ
サンディでさえ驚いた表情を浮かべていた。
「本当にごめんなさい。自分でもどうしてこうなったのか分からないんです。ただ、朝からずっとあなたにどう謝るかを考えていて……本当に申し訳ないです。」ナイトは慌てた様子で言った。
ザックはナイトの頭を拳で軽く叩きながら、「なぜお前に地図を任せようと思ったんだ?人生で最も間違った選択の一つだ!」と怒鳴った。
「ごめんなさい、ごめんなさい。やっぱり地図はあなたが見てください。本当にごめんなさい!」ナイトは恐縮しながら謝った。
「えっと……隊内の会話に口を挟みたくはないんだけど、あの漫画を読んでる少女、前に進んでるみたいだよ。」サンディが冷静に指摘した。
それを聞いてザックは驚き、振り返るとエイトはかなり遠くまで進んでいた。
「あいつ、漫画に夢中になってるのか?まったく、少しは周りに注意しろよ!」ザックは怒りながら駆け寄り、エイトを無理やり引き戻した。
「これからは何をするにもまず俺に確認しろ!それに、俺の視界から絶対に離れるな!お前たちがまた何か大きなトラブルを引き起こすのが怖いんだよ、分かったか?」ザックは息を切らしながら言った。
「分かったよ……」エイトは小さく答えた。
その様子を見ていた二人は、まるで先生に叱られている生徒のようだった。「君たちの隊って、いつもこんな感じなの?」サンディが思わず聞いた。
「違う!俺は今日、この隊に初めて入ったばかりだ!でも、心臓も頭ももう爆発しそうだよ。人生で初めてだ、任務中よりも、任務が終わった帰り道の方が疲れるなんて!」ザックは嘆きながら答えた。
それを聞いたサンディは、突然口元を押さえ、そのまま笑い出した。
「まだあなたたち三人を完全には信用できないけど……でも、なかなか面白い人たちね。」サンディは穏やかに言った。
「おや?君も笑えるんだな?ずっと無表情だったから、漫画で言う“無表情キャラ”かと思ったよ。」エイトが茶化すように言った。
「無表情じゃないから!ただ……そんなに笑うのが好きじゃないだけよ。」サンディは少しムッとしながら答えた。
「地図を逆に持ったのも正解だったな、サンディが笑ったんだから。だからさ、この世の全ての出来事には意味があるんだよ!」ナイトはザックの肩をポンと叩いた。
「このバカ、もう俺に話しかけるな!……でも、今回はちょっとだけ正しいことを言ったな。」ザックは仕方なさそうに返事をした。




