第36話 11 この大バカ野郎!
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エイトは自分の番が来たことに気づき、ため息をついた。
「はあ、まったく……本当に俺の番か?まあいいさ。」肩をすくめ、少しばかり諦めたように言った。
「俺の名前はエイト。漫画以外のことは全部つまらないと思ってる。俺が使うのはツインブレード。得意なこと?まあ、スピードが速いくらいかな。」
続いて、ザックも簡潔に自己紹介を始めた。
「俺の名前はザック。この中で一番弱いのは多分俺だな。魔法もなんだか変だし。でも、唯一得意なことがあるとすれば、頭がちょっとだけ回るってことくらいかな。」
それを聞いたサンディは冷たく言った。
「こんな方法で、私の信頼を得ようなんて思わないで。」
「いやいや、そんなこと考えてないよ。」ナイトが笑顔で口を挟んだ。
「お互いを知ることから友達になるんだ。友達作りだって一種の冒険だろう?」
サンディは冷めた表情のまま返した。
「私は友達を作りにここへ来たわけじゃない。それに、どうせ私たち、もう二度と会うことはないんじゃない?」
ナイトはそれでも楽観的に答えた。
「確かにそうかもしれないね。でも、だからこそ今一緒にいる時間が大事なんじゃない?」
サンディは黙り込んだまま、何も言わなかった。
一行は道を進んでいたが、しばらくするとザックが何かがおかしいことに気づいた。
「おかしいな……ここに来る道、こんなんじゃなかった気がする……」
そう心の中で考えながら、ザックは口を開いた。
「ナイト、お前地図持ってるだろ?もう一回見てくれ。本当に正しい道を進んでるのか?」
サンディも振り返り、ナイトをじっと見つめた。
ナイトは自信満々に答えた。
「その辺は間違えないよ。俺は冒険者をやってたこともあるし、地図を見るのは得意だ。見てみろ、地図のコンパスは赤が南、青が北を指してるんだ。冒険者なら基本中の基本だろう?」
その言葉を聞いた瞬間、ザックはまるで雷に打たれたような顔をして、その場に膝をついた。
「嘘だろ!?前にも言っただろう!お前、朝地図を忘れたから今使ってるのは俺の地図なんだよ!でも俺の地図のコンパスは逆なんだ!わかるか?つまり俺たち、完全に逆方向に進んでるんだよ!この大バカ野郎!」
ザックは絶望的な表情で叫び、ナイトは呆然とした顔をしていた。場の空気が一気に凍りついた。
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