第36話 09 「一緒に行動する。」
「分かった、分かった。私たちは君について行かないよ。任務も終わったし、もう帰っていいだろ?」とエイトが言った。
「ところで、なんで狼の群れを追っていたんだ?さっき言ってた石と何か関係があるのか?」とザックが慎重に尋ねた。
「そんなに詮索しなくてもいいでしょ。でも、確かに君たちには手伝ってもらえるかもしれないね。」女は答えた。「その石は大切な人にもらったものなんだけど、単独任務中に狼の群れに襲われてね。頭狼は倒したけど、石を奪われてしまったんだ。それで群れを追ってきたのさ。」
女が話し終えると、ナイトが急に口を挟んだ。「そういえば、戦闘中に妙な石を拾ったよ。」そう言って、ナイトは石を見せた。
「それ!それが私の石だよ!早く返して!さっきも誰かが奪おうとしてきたんだ!」女は焦った様子で言った。
「ちょっと待て。その石って一体何なんだ?危険な物じゃないだろうな?」とナイトが警戒して聞いた。
「私が知るわけないでしょ!とにかく、それは私のものだから返して!」女は手を伸ばして取ろうとした。
「待てよ。本当に君がこの石の持ち主だってどう証明するんだ?」ナイトがそう言った。
仕方なく、女は冒険者証を取り出して見せた。「私は冒険者だよ。等級は流水第3段、職業は魔法使い。名前はサンディだ。」サンディはきっぱりと言った。
「なんだ、君も冒険者だったのか。」とエイトが横から口を挟んだ。
「これで証明できただろう?石を返してもらえるかな?」サンディが言うと、ナイトは石を彼女に渡した。
「一緒に来るんだ。君一人だと危険だ。」とザックが突然言った。
「必要ないわ。一人で大丈夫。私はいつも一人で動いているから、君たちの気遣いなんていらない。それにむしろ……」
「むしろ疑われるってことか?」ザックが話を遮った。「もし僕たちが君の石を狙っていたなら、とっくに奪っているさ。」
「はっ、君たち三人で?」サンディは冷笑して、「さっき君たちの実力を見たけど、私とはレベルが違う。三人掛かりでも私には敵わないわ。」
「それはそうかもしれないけど、君の状態が万全ならの話だ。」ザックは冷静に答えた。「狼の群れと戦った後に石を奪おうとした連中とも戦ったんだろ?もう体力なんて残ってないだろうしね。それに、僕たちと一緒に行くのを嫌がる理由の一つは、僕たちに迷惑をかけたくないからじゃないか?でも君が一人で行くほうが、もっと大きな迷惑になるかもしれない。石を狙う連中が僕たちを狙ってくる可能性もある。だったら、みんなで行動したほうが安全だよ。」




