第36話 08 信頼
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「動くな!」
背が高く、豊満な体型の女性がゆっくりと姿を現した。彼女は木製の魔法の杖を手に持ち、汚れた魔法帽をかぶっている。紫と青が混ざった魔法使いの連体服を着ており、その裾はふくらはぎまで垂れている。冷たい声で彼女は言った。
「あなたたち、ここに何をしに来たの?もしかして、あの石を奪おうとしているの?石にそんなに価値があるの?」
相手が人間であることを確認したナイトは、大剣をすぐに鞘に収め、慎重に答えた。
「私たちに悪意はありません。ただ魔物討伐の任務で来ただけです。あなたは狼の群れを追って来たんですよね?それに、あなたが言う石は取っていません。」
しかし、女性は杖を構えたまま、警戒心を緩めることなく言い放った。
「なら、身につけている鎧を全部脱ぎなさい!どこかにナイフでも隠していて襲いかかるつもりかもしれない。」
ナイトは抵抗せず、右肩の鎧を外し、背中の大剣を地面に置いた。彼の茶色のチェック柄シャツとズボンにはポケットがなく、武器を隠している様子はない。
女性の視線はエイトとザックに移った。
「次はあなたたち二人だ。武器を地面に置きなさい!」
エイトは仕方なさそうに溜息をつき、大事にしている小さなバッグをそっと地面に置いた後、腰に付けていた短剣を取り出した。彼女の黒い外套にはフードが付いており、その下には体に密着した黒いインナーを着ていた。明らかに他に武器を隠している様子はない。
ザックは慌てて首に巻いていたスカーフを外し、その場で一回転して自分に武器がないことを示した。さらに、冒険者証を取り出し、女性に差し出した。証明書にはザックの写真や詳細情報、冒険者ギルドの公式印章が記されている。
「これで大丈夫ですか?」と、ザックは慎重に尋ねた。
女性は少し警戒を緩めたものの、なおも厳しい口調で警告した。
「いいわ。でも、もし私が危険だと思う行動を一つでも見つけたら、あるいは私に近づいたりしたら、その時は容赦なく攻撃するからね!」
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