第36話 01 昔の時代
ザックは大通りを歩きながら、抑えきれない喜びを顔に浮かべていた。しかし、彼の思考はいつの間にか遠くに飛び、日々の仲間との出来事を思い出していた。彼は小さくため息をつきながら呟いた。
「普段、計画を立てるのはいつも俺ばかり。時々、自分がチームで唯一まともな人間なんじゃないかって思うよ。」
ナイトはたまに閃くような素晴らしいアイデアを出すこともあるが、ほとんどの場合、彼の計画は錆びついた脳みそからしか出てこないように感じる。そしてエイト、あいつは賢いけれど、いつも漫画を読む時間をどうやって作るかしか考えていない。そしてサンディに関して言えば、最初は優しくて頼りになるお姉さんタイプだと思っていた。少しは責任を分担してくれる存在かと思っていたけど、彼女が好きなものに夢中になる時のあの狂気ぶりを知った後では……。
そこまで考えたザックは、思わずゾクッと寒気を感じた。冷たい感覚が足から頭に駆け上がる。
「本当に不思議なものだな……」
ザックは呟きながら、怖気を振り払うように前へ歩みを進めた。彼は零食の袋を開け、食べながらぶらぶらと歩いていた。その時、不意に路上の小さな屋台が目に入った。そこには精巧な木製の小さなボールが並べられており、細やかな模様が描かれていた。それは明らかに子供たちの遊び道具だった。ザックは一つ手に取って、そっと掌に乗せた。それを見つめていると、ふとナイトに初めて会った時のことを思い出した。
「その頃の俺は、今みたいに器用には立ち回れていなかったな……」
ザックは苦笑しながら、仲間たちとの最初の出会いを思い返した。あの時、彼は自分のチームから見限られ、心の中は失望と自己嫌悪で満ちていた。まるで生きる屍のように街をさまよっていたのだ。
「これで何度目なんだろうな。新しいチームに入っても、たった一回の任務で役立たず扱いされるなんて……。どうして神様はこんな無駄な魔法を俺に与えたんだ?他の属性の魔法も学べないし、攻撃力も弱いし……」
そう考えるたびに気分は沈むばかりで、ザックはうなだれていた。
その時だった。彼の視界の端に、一枚の求人ポスターが貼られているのが見えた。ポスターには、少し雑な男っぽい字でこう書かれていた。
「冒険者募集!誰でも歓迎!」
ザックはその文字をじっと見つめ、「ダメ元で試してみるか……」と心の中で呟いた。そして、ポスターに書かれていた住所を頼りに、冒険者ギルドへと向かった。
そこは人々の声であふれ、混雑していた。ザックは入り口で足を止め、誰に話しかけるべきか分からず戸惑っていた。その時、彼の耳に二つの声が飛び込んできた……。




