第35話 06 星の寝顔
ニックスは語った。時間は午後から静かに流れ、夜へと移り変わった。空の色は橙色の温かみから、静寂な漆黒へと変わっていった。彼はため息を一つつき、話を続けた。
「あの試験、どうせまたひどい点数になると思っていたんだ。成績はいつもよくなかったからね。でも不思議なことに、選択問題が全部当たっていてさ。それでフィードと一緒に、そこそこいい学校に入ることができたんだ。そこでエリーサやシャーに出会ったんだよ。」
そう言いながら、ニックスは星に目を向けた。すると、彼女はすでに椅子にもたれて眠っていた。ニックスは微笑み、そっと彼女を抱き上げ、自分のベッドに寝かせた。
「子どもって、寝顔がこんなに可愛いものなんだな。」ニックスは小さな声で感嘆し、椅子に座り直して星の寝顔を静かに見つめた。その時、扉が静かに開き、医療スタッフが夕食を持って入ってきた。ニックスはすぐに指を唇に当て、声を出さないよう合図を送った。それからベッドに寝ている星を指差す。医療スタッフも状況を察し、軽くうなずいて夕食をそっとテーブルに置いた。ニックスは口の動きだけで「ありがとう」と伝え、心がほっと安らぐのを感じた。
エリーサたちには、すでに小N――いや、今は星と呼ぶべきか――がここにいることを知らせていたので、彼らが心配することはないだろうとニックスは確信していた。彼は夕食に目を向け、それから部屋に差し込む月光を見つめた。その時、不意にいくつかの言葉が頭に浮かんできた。鉛筆を手に取ると、それらのインスピレーションを紙に書き留めた。
夜の静けさが大地を包み、
星々の輝きが天空を飾る。
夜は星を守り、
まるで僕が君を守るように。
まだ昇ったばかりの新星だけれど、
きっと君はいつか自分の光を見つけるだろう。
夜がどれほど深くても、決して孤独ではない。
星が共にいて、果てしない暗闇を照らしてくれるから。
夜は無限の深淵、
星は希望の微光。
この交錯する世界で、
僕は君を遠くへと送り届けるよ。
嵐がどれほど吹き荒れても、
暗闇がどれほど広がっても、
夜は星を永遠に守り続ける。
そう、僕が君を守るように。
ニックスは鉛筆を置き、紙に書き上げた言葉を見つめた。その出来栄えに満足し、微かに笑みを浮かべた。
「まさか、自分にこんな才能があったなんてな。ちゃんと努力すれば、ひょっとしたら文豪になれるかもしれないな。」と自嘲気味に笑い、鉛筆を机の上にきちんと並べた。そして再び星の寝顔に目をやり、胸の奥に暖かな気持ちが満ちるのを感じた。




