第35話 05 夜と星
「君が来たんだね。一人で来たの?他の人たちは?」とニックスは不思議そうに尋ねた。
「うん、一人で来たの。どうしても君が今どうしているのか知りたかったから……。君が大怪我をしているんじゃないかとすごく心配で。」と小Nは不安そうに答えた。
「大丈夫だよ。今は何も問題ない。ほら、こんなに元気だろう?」とニックスは微笑みながら彼女を安心させた。「僕の仲間たちも強いからね。きっと君をちゃんと守ってくれるよ。だから心配しないで。」
「違うの……私は守ってもらいたくて来たわけじゃない。」と小Nは俯きながら、少し慌てた口調で言った。「ただ……君が本当に無事なのか確かめたかっただけなの。君が私を助けるために大怪我をしてしまったらって思うと、本当に怖くて……。だって、君がこうなったのは私のせいでしょ?私は……もう信じられる人がいなくなるのなんて見たくない……。」
「そっか、僕の勘違いだったね。ごめんね。君のことをまだよくわかっていないんだ。」とニックスはため息をつき、笑みを浮かべた。「君が僕のことを心配してくれたんだね。本当にありがとう。そんなに僕のことを気にしてくれるなんて。でも安心して。当時のあの場面、君がいなくても僕は同じ行動を取ったと思うよ。」
「じゃあ、私のせいで……じゃないの?」と小Nは少し戸惑いながら尋ねた。
「もちろん違うよ!」とニックスは彼女の肩を軽く叩きながら笑顔で言った。「あー、たまに君って本当に小さなおバカさんみたいだよね。でも、ずっと『小N』って呼ぶのはなんだか親しみが足りない気がする。だから……『小バカさん』って呼ぼうかな?」
「やだ!そんな名前絶対嫌!」と小Nは即座に抗議したが、少し恥ずかしそうに続けた。「でも、あのね、ニックス。お互いにあだ名をつけ合うと、もっと相手のことを知れるって聞いたの。私も君のことをもっと知りたいって思って……でも、考えれば考えるほど、君にぴったりの名前が思いつかなくて。だって、君は私にとってすごく大切な存在だから。だから……君のことを『夜』って呼んでもいいかな?」
「『夜』?なんて素敵な名前なんだ!」とニクスは目を輝かせた。「君、名前を考えるのが上手だね!それなら僕も君に名前をつけよう。『星』でどうかな?」
「いいよ!でも、なんで『星』なの?」と小Nは興味津々で尋ねた。
「だって、僕が『夜』なら、君は『星』だよ。君という星がこの世界で無事に輝き続けられるように、僕が守るんだ。」とニックスは胸を叩いて自信満々に言った。「夜が星を守るようにね。僕も必ず君を守るよ!」
小Nはつい笑ってしまい、ニックスの真似をして胸を叩いた。二人はお互いに大きな親指を立てて見せ合い、顔を見合わせて笑った。
「それじゃあ……僕の話をしてあげるよ。実は、僕、この世界の人間じゃないんだ。」




