第6話07どんなに美しい花火でも、打ち上げられるのは一瞬です
すでに二人の隊員が炎に焼かれ、苦悶の声を上げながら地面に伏している。焦げた布の匂いが鼻を突き、熱気が肌を刺すように押し寄せる。周囲の空気は波打ち、揺らめく炎が敵の凶暴さを物語っていた。
「みんな、軽々しく動くな。」
前方に視線を向けると、そこにそびえ立つのは、以前とは比べ物にならないほど異質な火焰精霊だった。そいつの体躯は圧倒的な威圧感を放ち、全身を赤黒い炎が揺らめきながら包み込んでいる。両腕にはまるで鋼鉄の鎧のような分厚い防具がつき、頭部には燃え盛るヘルメットのようなものが光を放ちながら輝いていた。その眼光は獲物を見定める獣のように鋭く、まるでこちらを試すかのような余裕すら感じさせる。その存在感だけで、先ほどまでの雑魚たちとは明らかに格が違うことがわかった。
「これは……以前の火焰精霊とはまるで別物だな。こいつ、間違いなく強い。」ニックスが警戒しながら言った。
「おそらく、副ボス的な存在だろうな。」
「その理解でいい。だが、勝機はある。戦いの中で気づいたが、こいつの腕の防御は異常なほど頑丈だ。だが、他の火焰精霊と同じく、胴体は比較的脆い。ただし……」
言葉を一度切ると、強張った表情で続けた。
「こいつは動きが速い。全員で一気に攻め込むのは危険だ。広範囲攻撃を持っているから、下手をすれば一瞬で全滅する。だから、俺が最初に囮になる。その隙に、胴体を狙え。倒すことは考えるな、まずは傷を与えることだけを狙え。作戦はこうだ——」
「おいおい……俺を無視して計画を立てるとはな。」
突然、炎の奥から響く不快な声。
「俺の前でそんな話をして、俺を軽んじているのか?」
火焰精霊が大口を開いた瞬間——灼熱の炎が巻き上がり、嵐のような連撃が一行を襲いかかった。地面が弾け、爆風が辺りを飲み込む。戦いの幕が切って落とされた。




