第33話 16 赤く染まった包帯
シャーは迅速かつ明確に計画を立て、緊張感を漂わせながらも落ち着きと果断さを示して言った。
「村を少し調べてみたが、これは幻術や結界のようなものではないようだ。当然、敵がさらに高度な、あるいは未知の魔法を使っている可能性もある。しかし、もしそうでないなら、村全体の住民が危険にさらされることになる。我々はすぐに村長に知らせなければならない。この村には未知の脅威が存在している。」
彼はフィードに振り向き、こう続けた。
「フィード、ここで少し休んでくれ。君がかなり疲れているのは一目瞭然だ。体力を回復する必要がある。何が起こってもここから動かず、私たちが戻るまで待機していてくれ。」
次に彼はエリーサに目を向け、言った。
「どちらかが問題に直面した場合、エリーサ、君は空に炎を放って合図してくれ。私は溶岩を空に発射して応える。フィード、君は地面を叩いて信号を送るんだ。村長の執務室はすぐ近くだ。何かあればすぐに駆けつける。」
シャーは一度息を深く吸い込み、さらに続けた。
「1時間後にここで合流しよう。1時間以内に戻らない者がいれば、その者は敵に捕らえられたか、襲撃された可能性が高い。では、行動開始だ!何があってもニックスを見つけ出す。もし彼が捕らえられたのなら、必ず救い出す。」
その言葉を最後に、一行はそれぞれの役割を果たすべく散っていった。
視点が切り替わる——
荒れ果てた野外、周囲には廃墟と化した建物が点在し、そこからは死寂と荒涼が漂っていた。廃墟の中央には5人の人間が横たわっている。その中の1人が既に目を覚ましていた。
その男の外見は不吉で異様な雰囲気を漂わせていた。痩せてはいないが、決して大柄でもない体格。顔全体は包帯で覆われており、左頬にはまだ血の跡が残っている。赤く輝く目は、見る者を戦慄させるほど不気味だった。
首から下の体は鉄条でがんじがらめに巻かれており、それが奇妙な「服」のように見えた。それは崩壊と混沌が一体となったような存在そのものを象徴しているかのようだった。左手の手の甲には小刀が埋め込まれ、右手には斧を握っている。彼に近づくだけで、いや、その姿を目にするだけで窒息するような恐怖を感じさせる存在だった。
彼の到来により、周囲の空気はさらに異様さを増していった。彼は重い足音を響かせながら、廃墟に横たわる5人の方へとゆっくり歩み寄る。その足音は、まるで相手の神経を直接叩きつけるかのようだった。
彼はまだ完全に目覚めていないニックス一行を見下ろしながら、低く呟いた。
「他の奴らもそろそろ起きるのか……面倒なことになりそうだな。」
そう言いながら、彼は突然自分の頭を乱暴に引っ掻き始めた。その仕草は狂気じみており、抑え込んでいた感情が今にも爆発しそうな不穏さを感じさせた。




