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第6話06炎の将軍

「以前の言葉がちょっときつすぎたかな…」クリは少しだけ顔をしかめながら呟いた。


「いえ、いえ、あなたの言うことは正しいと思いますよ。ありがとうございます。」クリは微笑みながら答えたが、その口調には少し照れが見え隠れしていた。


「もう、もう、二人とも少し気持ち悪いわよ。」夢子が顔をしかめ、少し怒ったような表情で言った。彼女の手は無意識に額を拭っていたが、その視線はどこか遠くを見つめていた。


「それはそうだけど、まだ敵が残ってるんだよね?」ニックスが真剣な表情で尋ねると、クリは静かに頷いた。


「そうだ、まだ敵が残ってる。でも、ニックスが加われば前より少しは楽になるはずだ。」クリの言葉には、期待と少しの安堵が含まれていた。


「じゃあ、みんなでこの村を守り抜こう。」ニックスは力強く言った。その眼差しは、どこか決意に満ちていた。


「はい!」一斉に仲間たちの声が響く中、ニックスはクリに続いて、戦場へと駆け出した。村の中はすでに戦の足音で溢れており、遠くから火の精霊たちの絶え間ない叫び声が聞こえてきた。


ニックスが剣を握りしめ、前を見据えながら歩くと、周りの仲間たちもそれぞれ戦いを繰り広げていた。強力な火の精霊もいれば、些細な弱点を抱えた精霊もいるが、全体的には順調に討伐が進んでいた。


「ここはもうすぐ片付くな。」ニックスが肩をすくめるように言うと、ふと空を見上げた。すると、空高くから赤い煙がゆっくりと立ち上るのが見えた。その煙は、信号弾の証だった。


「その信号弾、何を示してるんだ?」ニックスはすぐに顔を険しくした。


「その色は隊長のだ。つまり、隊長が何か問題に直面しているってことだ。」クリが冷静に答えたが、その表情からも緊張がにじみ出ていた。


「ニックス、先に隊長を助けに行ってくれ。」クリは少し躊躇いながらも、ニックスに指示を出した。


「隊長のところに行くべきだね。分かった、クリも頑張って。」ニックスは一度振り返り、仲間たちに軽く手を振った。そして、足元の土を蹴り上げるようにして、信号弾の方向へと駆け出した。「隊長が無事でいることを祈る。」その言葉を口にした瞬間、心の奥に湧き上がる緊張感を必死に抑え込んだ。


しばらくして、ニックスはついにリードがいる場所に辿り着いた。周囲には数人の仲間が立ち尽くし、暗い顔をしている。その目の奥には、緊張と不安が交錯していた。


「援軍はこれだけか…この相手に勝てるかどうか分からないな。」リードの声は低く、疲れが滲んでいた。だが、目の前のニックスを見た瞬間、その目に微かな希望が宿ったようにも見えた。


「隊長、現状を説明してください。」ニックスは、心の中で覚悟を決めると、すぐにリードに話しかけた。


リードはニックスを一瞥した後、少し間を置いてから、重い口を開いた。


「説明しよう。火の精霊が村に侵入した時、私たちはすぐに防御を開始した。しばらく経って、もう少しで全ての火の精霊を駆逐できると思ったその時、突然、強力な火の精霊が現れた。」





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