第33話 12 さあ、この忌々しい夢の世界から抜け出そう。
「ところで、お前、魔力探知ってできるか?たとえ基礎的なレベルでもいいんだけど。」とニックスが尋ねた。
「何を言っているんだ?そんなの、俺にはできるわけないだろう!」幽霊は冷たく答えた。
「そんなに長く生きてるんだから、他のスキルを少しぐらい身につけてもいいだろ?」ニックスは呆れたようにぼやいた。するとその時、オレンジ色の光が突然現れ、声が響いた。
「おいおい、俺のことを忘れるなよ!なんでいつも幽霊ばっかり出てきて、俺のことは無視するんだ?ニックス、たまには俺のことも思い出してくれ!」
「悪かった悪かった。でも、お前も出てこられるなんて意外だったよ。」ニックスは頭を掻きながら言った。
「お前にしか見えないけどな。」精霊が続けた。「さて、無駄話はここまでだ。お前が言ってた穴を見つける方法がわかった。俺は精霊だ。この世界の多くの魔法は微精霊で構成されているんだ。もし今俺たちがいる場所が本当の現実世界じゃないとしたら、微精霊の数は現実世界よりずっと少ないはずだ。さっき俺が現れたとき、少し感じ取ってみたんだが、やっぱりそうだった。今俺たちがいるのは現実じゃない。そしてたとえ仮想の空間だとしても、こんなに微精霊の数が少ないはずがない。だから、一番微精霊の数が少ない場所を探してみたら、そこだとわかったんだ。」精霊は近くの小さな売店を指さした。
「じゃあ、さっさと行こうぜ!」ニックスはそう言って売店に向かって歩き始めた。
「ここ、結構お菓子がたくさんあるな。」棚を見ながらニックスは言った。
「気をつけろ、罠かもしれないぞ。」精霊が警告した。
「俺、もう幽霊王モードは使えないんだよな?」ニックスが確認するように聞いた。
「その通りだ。」精霊は頷いて答えた。「お前の魔力は砂漠よりも干からびている。もし俺が前に助けなかったら、お前はとっくに死んでいたぞ。お前の体は魔力を受けすぎて、もうすぐ反動が来るところだ。」
「まるで海水を飲んで、逆に脱水症状を起こすみたいなもんか。」ニックスは苦笑しながらさらに歩を進めた。
彼らが話しながら進むと、ついに売店の地下室にたどり着いた。
「よし、ここだ。」精霊は壁を指さして言った。




