第33話 09 お前は夢を見るか?
そうだよ、考えていたんだ。なぜ自分だけが気づいて、他の人たちは全く感じていないんだろう?もしかしたら……いや、多分、それは自分がこの「幽霊の能力」を持っているからだろう。空間に対する感覚が非常に鋭いからこそ、ここにある違和感を察知できたんだ。敵はまだ自分が気づいたことに気づいていない。それは、この世界で幽霊の能力を持つ唯一の存在が自分だからだ。そう理解した瞬間、ニックスは立ち上がった。
「怖くないのか?真実が奴らの言う通り、俺が君の記憶を改ざんしたものだとしたら?可能性が全くないわけじゃないだろう。」
幽霊は横に立ち、ふいに言った。
「俺を試しているのか?」ニックスは彼を一瞥し、「君を疑うつもりはないさ。君は以前、俺の命を救ってくれたじゃないか。俺にとって、君は他の仲間たちと何も変わらない存在だ。さあ、もうこんな話をしている暇はない。敵がまだ気づいていない今、この有利な状況を利用して早く現状を把握する必要がある。」
そう言って、ニックスは幽霊を振り返った。「どうした?そんなふうに俺を見て、何か話してほしいのか?」
幽霊は微笑みながら答えた。「悪いな、俺は半生を森の中で生きてきた。君に会わなければ、きっと今もあそこにいたと思う。でも、まあ、君が俺を信頼してくれているなら、少し簡単に分析してやろう。」
少し間を置いて、幽霊は続けた。「まず、俺たちがいるこの『長剣』は幻術ではない。むしろ結界に近いものだ。ただ、もし結界だとしたら、中に入った瞬間に異常を感じるはずだが、俺たちはじわじわと違和感を感じた。そして最も重要なのは、俺たちはどうやら繰り返し同じ状況にいるということだ。」
幽霊は少し考え込んだ後、遊び心を含んだ視線でニックスを見上げた。「正直言って、一つ面白いことを思いついた……なあ、小僧、お前は夢を見るか?」
同じ頃、小Nは街中を歩き回りながらニックスを探していた。主従契約を結んでいるため、小Nはニックスのおおよその位置を感じ取ることができた。感覚を頼りにして細い路地に入り、ニックスの足跡を辿ろうとしていたその時、背後から急な革靴の足音が聞こえた。
小Nが反応する間もなく、大きな手で口を塞がれ、次の瞬間には体ごと持ち上げられ、高層ビルの窓辺に運ばれた。
「黙っていろ。」




