第1話 05最初の戦い、
異世界の洗礼:スライムとの遭遇
ニックスは信じられないものを目の前にして、目を瞬かせた。
「スライムだ……!」
青白く半透明なゼリー状の生物が、滝のそばの岩の上でゆらゆらと揺れている。まるで水風船のように弾力があり、時折「ぷるん」と音を立てながら形を変えている。
異世界を舞台にしたゲームやアニメでは、スライムは最も弱いモンスターとして知られている。
「よし、こいつを倒せばレベルアップできるかも!」
そう考えたニックスは、慎重にスライムへと歩み寄った。
しかし——
「ぷちっ!」
スライムが突如として跳ね上がったかと思うと、次の瞬間にはニックスの頭上に飛び乗った!
「ぐあっ!!?」
意外なほどの衝撃が頭に走る。
「おいおい、こんな弱そうな奴に負けるなんて冗談だろ……!」
地面に倒れ込みながら、彼の中に込み上げるのは怒りだった。
「俺は狼から生き延びたんだぞ! こんなやつに負けられるか!!」
彼は叫びながら、勢いよく立ち上がった。
頭に乗ったスライムを振り落とそうとした瞬間——
剣の誕生
「……っ!?」
ニックスの右手に、突然光が集まり始めた。
まるで霧が晴れていくように、光は徐々に凝縮し、形を成していく。
そして次の瞬間、彼の手の中には一本の剣が現れていた。
「な、なんだこれ……!? 俺の武器……!?」
驚く暇もなく、スライムが再び飛びかかってくる。
反射的に剣を振るうと、剣先はまるで意志を持っているかのように自然と軌道を変え、スライムの身体を貫いた!
「え?」
一瞬の沈黙。
スライムは一度震え、瞬時に微風のように消え去った。
「倒した……?」
信じられない気持ちで剣を見つめる。
すると、ふと彼の中に強烈な自信が湧き上がってきた。
「やっぱり、俺がこの世界で最強の存在だ!」
興奮に身を任せ、彼は叫ぶ。
「次は、俺を重傷にしたあの狼たちにリベンジだ!!」
狼たちとの再戦……そして敗北
勢いよく森へ飛び込むニックス。
だが、その決断が命取りだった。
彼はすぐに狼の群れに囲まれた。
牙をむき出しにし、獲物を狩る狩人のように狼たちは距離を詰めてくる。
「しまった……!」
剣を構えるが、数の差が圧倒的だった。
鋭い爪が彼の腕を裂き、牙が足に食い込む。
彼は必死に剣を振るうが、狼たちは素早く動き、なかなか攻撃を当てられない。
やがて——
「ぐっ……!」
ニックスはついに地面へと膝をついた。
謎の声と異空間
「……まあ、後でまた戦おう。」
そう言って、彼は近くの岩にもたれかかった。
肩の傷口を確認しようとしたその瞬間——
「……お前は、まだ負けていない。」
微かに響く、剣の声。
「!?!?」
彼が驚いて剣を見つめた瞬間——
突然、周囲の景色が歪んだ。
身体が強烈な力に引っ張られ、彼は暗闇のトンネルの中へと吸い込まれた。
トンネルはものすごい速さで回転し、彼の意識がぐらぐらと揺れる。
そして——
目の前がぱあっと明るくなった。
精霊たちの楽園
ニックスが立っていたのは、全く新しい空間だった。
目の前には、ふわふわと舞い踊る小さな精霊たちがいた。
彼らの身体は淡い黄色やオレンジ色の光を放ち、空中を楽しそうに飛び回っている。
まるで生きた光の粒のように、精霊たちはきらきらと輝きながらニックスの周りを旋回した。
「……ここは、一体?」
ニックスは、自分がどこにいるのか分からず、ただ静かに目の前の光景を見つめた。
新たな試練が、今始まろうとしていた——。