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第6話 03最後のトリック、円舞曲・燕返

耳をつんざくような轟音が大気を震わせ、空中で爆ぜた炎がまるで夜空に咲く巨大な花火のように輝きを放った。灼熱の光が辺りを照らし、焼け付くような熱波が一瞬にして広がる。


「まるで花火みたいだな……でも、ついに成功した!」


ニックスは静かに呟き、荒い息を整えながら誇らしげな笑みを浮かべた。しかし、その余韻に浸る間もなく、燃え盛る炎の中から低く響く声が聞こえてきた。


「意外だな……」


炎のゆらめきの中から、火焔精霊が悠然と姿を現す。その表情には痛みも焦りもなく、ただ不敵な笑みだけが浮かんでいた。


「私にここまでさせる者は滅多にいない。」


そう言いながら、火焔精霊は軽く指を鳴らした。その瞬間、燃え上がる火球が意志を持つかのように軌道を変え、驚くべきことに精霊自身へと向かっていった。


「こいつ、自爆するつもりか?!」


ニックスの心臓が跳ね上がる。直感が危険を告げると同時に、彼は即座に防御の準備を整えた。


「念のため、もう一枚盾を張るか……」


しかし、次の瞬間、火球は火焔精霊の胸元に深く突き刺さった。精霊は反射的に両腕で胸を庇うが、その直後——


ドォォォォン!!


爆発的な衝撃波が四方へと解き放たれ、荒れ狂う熱風が辺りを焼き尽くす。轟く炎の咆哮とともに、精霊の目が怒りの炎で燃え上がった。


「お前はここで地獄に落ちるんだ!!」


怒声とともに、灼熱の炎が猛る嵐となり、ニックスへと襲いかかる。熱の壁が押し寄せ、逃げ場はない。


その一瞬——


ニックスの脳裏に「死」の二文字が浮かんだ。


(避けられない……防ぐしかない!)


彼は剣を構え、全身の力を込めて迎え撃つ。しかし、炎の圧力はこれまでとは比べ物にならず、剣を通じて伝わる衝撃が腕を痺れさせた。この攻撃は——ただの炎ではない。


(方向を変えるのは無理だ……ならば、やるしかない……!)


「円舞曲!」


全身の魔力を爆発させ、剣を振るう。しかし、斬撃は炎の奔流を完全に裂くことはできず、膨大な熱量が依然としてニックスを包み込もうとしていた。


「斬れないなら……瞬間移動だ!!」


——刹那。


ニックスの姿が、炎の奔流の中から消えた。


次に彼が現れたのは、火焔精霊の目の前。


「なんだと?!こいつ、いつの間にここに!」


精霊の瞳が驚愕に見開かれる。しかし、逃げる間もなかった。


「逃げられると思うな!」


ニックスは冷たく言い放ち、剣を構え直す。その動きは疾風の如く、迷いは一切ない。


「喰らえ——燕返!!」


燕返——それは、一撃目の後に極限の速度で二撃目を繰り出す秘技。全身の力を一瞬に凝縮し、風を切る閃光のごとき連撃を放つ。


(今が唯一のチャンスだ……成功させなければならない!!)


「円舞曲・燕返!!」


ニックスの怒りと決意が爆発する。剣が空を裂き、雷鳴のような衝撃が辺りを震わせる。剣の刃が火焔精霊を襲う! !



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