第4話 最終章剣のエネルギー
「隊長、ニックスはどこにいる!?」
チャーリーの焦燥に満ちた声が、戦場の緊迫した空気を切り裂いた。まだ立ち込める煙の中、彼の目は不安げに揺れている。
「ニックスのおかげでここまで来られたんだ。」
リードは鋭い眼光を放ちながら答えた。彼の鎧は戦いの余韻を刻んでおり、血と泥に塗れていた。「彼に医療隊を探させている。だが、その前に——」
リードはゆっくりと前に踏み出し、巨大ゴブリンと向き合った。その瞳には鋼の決意が宿っている。
「この厄介な奴を片付ける必要がある。」
グォォォォ……!!
ゴブリンの喉から、地響きのような怒声が響く。次の瞬間、その巨大な腕が動いた。
ブォンッ!!!
漆黒の大斧が凄まじい勢いで振り上げられ、空気を切り裂きながらリードに迫る。地面にまで届かんばかりの圧倒的な一撃。
しかし——
ガキィィィンッ!!!
それを真正面から受け止めたのは、リードの大剣だった。衝撃で周囲の土が跳ね、木の葉が爆ぜる。剣と斧が火花を散らしながら押し合うが、リードは一歩も引かない。
「膝頂!!」
咆哮とともに繰り出した一撃が、ゴブリンの膝を撃ち抜いた。骨を砕くような鈍い音が響き、巨体が数メートルも後退する。ゴブリンの顔には怒りと恐怖が入り混じり、荒い息を吐きながら再び攻撃態勢に入る。
「ギャアアアア!!」
憤怒に駆られた怪物は、再び大斧を振り上げる。しかし——
スパァァッ!!!
リードの剣が閃いた。刹那の速さで振り下ろされたその刃は、ゴブリンの分厚い腕をまるで紙のように切り裂き、真っ二つにした。
ドサッ!
切り落とされた腕が地面に転がる。
「グ、ギィィ……!!」
ゴブリンは絶望に顔を歪め、断末魔の悲鳴を上げながら踵を返す。狂ったように森へと逃げ出した。
しかし——
「絶対に逃がさない!!」
リードの声が雷鳴のように響いた。
「私の仲間を傷つけた者は、決して許さない!!」
彼は両手で大剣をしっかりと握り、高く掲げた。その瞬間、剣身が眩い輝きを放ち始める。
ゴォォォ……!!
剣が光を吸い込み、まるで太陽の如く輝きを増していく。辺りの空気が震え、地面が細かく揺れる。大気が軋むような音を立て、剣から発せられる圧倒的な力が辺りを包み込んでいく。
リードは深く息を吸い、全身に力を込めた。
「終わりだ。」
ズバァァァン!!!
刹那、巨大な青いエネルギーの剣気が放たれた。空を裂き、大地を揺るがしながら、稲妻のごとき速度で逃げるゴブリンを追い詰める。
ドォォォォン!!!!
壮絶な爆発音とともに、凄まじい閃光が辺りを焼き尽くす。衝撃波が大気を引き裂き、衝突した地点は一瞬で更地となった。立ち込める煙の向こうに、ゴブリンの姿は——
どこにもなかった。
「……これが隊長の大技だ……!」
チャーリーが信じられないものを見たように呟いた。
「やはり隊長は強い……ゴブリンの死体すら見えない……直接、灰になって消えた……!!」
リードは大剣を静かに下ろし、荒く息をついた。
「ニックスはもうすぐ来るはずだ。」
その時——
「……ごめん、遅れてしまった。」
聞き覚えのある声が、戦場に響いた。
煙の向こうから、一人の影が姿を現す。
それは、ニックスだった。
彼は額の汗を拭いながら、微かに息を整え、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「隊長が来てくれてよかった……!」




