第4話01嵐の前の静けさ
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「おい、早く起きろ!太陽が尻を焼いてるぞ!」
耳元で誰かが叫んでいるのをぼんやりと感じながら、ニックスはまだ眠気を振り払えず、もう少し寝ていたいと微かに思った。
「もう少し……寝かせてくれ……」彼は寝ぼけた声でつぶやいた。
「おいおい、本当に寝ぼけてるのか?少年、新しい一日が始まったぞ!」
その大きな声とともに、ニックスはようやく目を覚ました。
「やっと起きたか。今日は任務の日だぞ!」リードがやる気に満ちた声で言った。
「任務……?忘れてないよね?」
ニックスは一瞬で覚醒し、今日の目的を思い出した。
「そうだ、ゴブリン狩りだろ?」
彼は慌てて寝袋から飛び出し、急いで持ち物を片付け始めた。
「その通りだ。俺が先に周辺を探ってくる。お前たちは準備ができたらすぐに追いついてこい。」リードが言いながら、出発の準備を整えていた。
「じゃあ、隊長、先に行ってください。」ニックスは荷物をまとめながら言った。
「おい、本当にリードを一人で行かせるのか?」リックが口を挟んだ。
「大丈夫だよ。隊長は強いからね。むしろ、俺たちの方が気をつけないと。」チャーリーが周囲を見回しながら言った。
「でも、もし巨人ゴブリンに遭遇したら厄介だな……。」
「おいおいおい、こんなところに巨人ゴブリンなんているのか?」ヘンリーが笑いながら言った。「そんなの、もっと先のエリアにいるって聞いたぞ。」
「クリは意外と知識があるな。」チャーリーが感心したように頷いた。
「だって、俺も経験豊富な冒険者だからな!」リックが冗談めかして胸を張る。
「はいはい、自慢話はそこまでにしてくれ。」ヘンリーが呆れたように言った。「みんな準備ができたなら、そろそろ出発しよう。」
準備が整った一行は、再びジャングルの奥へと足を踏み入れた。
周囲は青々とした木々に覆われ、葉の隙間から柔らかな陽光が差し込んでいる。ニックスの胸には期待と興奮が膨らんでいたが、それと同時に、わずかな緊張も感じていた。
しばらく進むと、湿った土と植物の香りが漂い、鳥のさえずりが心地よく響いていた。
ニックスは自分を落ち着かせようと深呼吸をするが、頭の片隅では巨人ゴブリンの恐ろしい姿が離れなかった——。




